大阪「ガスビル食堂」から見えた大阪城 今の風景との違いは
1933年に建設された大阪市中央区の「大阪ガス」本社ビル、通称「ガスビル」。目の前にある1937年完成の「御堂筋」よりも歴史が長く、現在も当時と変わらない姿で建っている。2003年には登録有形文化財に登録された。そんなガスビルの8階にある「ガスビル食堂」は、同ビル完成と同じ年に開業し、現在も昔と変わらず多くの人に親しまれている。 【拡大写真と動画】御堂筋より古い歴史 大阪ガス「ガスビル」壁面タイル使用枚数は265万枚
1933年3月29日に開業
大阪ガスによると、ガスビルの完成は1933年3月17日。ガスビル食堂は、同年3月29日に開業、以来、本格欧風料理を提供し大阪を代表するレストランとして市民の人気を集めていたという。創業当時のメニューを見ると「チーズトースト、ポターヂ(ポタージュ)、チキン銀串焼、アイスクリーム、パン、コーヒー」のランチが1円となっており、行列ができるほどの人気だったそうだ。 そんなガスビルだが、太平洋戦争の際は空襲に備え、ビルの外壁を自社生産のコールタールを使って真っ黒に塗装。1945年3月の大阪大空襲では、周囲が焼け野原となっていたが、ガスビルは7階と8階の食堂の一部に被害が出るにとどまった。 1945年10月からビル2階の講演場と6階以上を進駐軍が接収し宿舎として使用された過去もあったが、1952年5月に進駐軍接収が解除された。 そして、同年12月1日にガスビル食堂が再開。1枚目の白黒写真は、その当時に撮られたもので、御堂筋のある東側のガラス窓からは大阪城を見ることができたという。
2枚目の写真は、昨年秋に同じ窓を撮ったもの。食事をしながら南北に続く御堂筋の景色は変わらず楽しめるものの、大阪城は向かいのビルで見えなくなっている。 この窓からの写真だけでも、大阪が60年の時をへてどれだけ変わったかを教えてくれている。しかし、このガスビル、そしてガスビル食堂の味は時をへても昔と変わらないのは歴史の深さを感じさせる。