牧野知弘 タワマン高層部に人気が集中する「眺望の良さ」以外の理由とは…「特権」を使える超高額マンションの高騰が続くのは必然だった
「かつて超高額マンションと言えば1億円、いわゆる『億ション』でした。ところが今や、3億円を超える住戸は珍しくありません」と語るのは、オラガ総研代表取締役の牧野知弘さん。今回は、マンション価格高騰の背景を牧野さんに解説していただきました。牧野さんいわく、「富裕層がもっとも嫌うのが、資産価値が落ちていくこと」だそうで――。 【書影】驚愕の価格の背景には何があるのか?牧野知弘『なぜマンションは高騰しているのか』 * * * * * * * ◆超高額マンションを使った節税 富裕層が超高額マンションを買う理由に、資産防衛の観点があります。よく、富裕層の多くは「ケチだ」と言われます。 逆説的に言えば、ケチだからお金が貯(た)まるという理屈でもあります。 そうしたケチな富裕層がもっとも嫌うのが、資産価値が落ちていくことです。ここに、資産防衛という考え方が生まれるのです。 現金をたくさん持っていることはお金持ちの象徴です。 ただ現金という資産は、持っているだけではそれ以上の資産を生み出してはくれません。1980年代~1990年代はじめ、銀行などに預けておけば、年間で数%の利息が付きました。 しかし、バブル崩壊以降、日本の預金金利は下がり続け、今では銀行に預けても、雀(すずめ)の涙ほどの利息しか付きません。
◆相続 そこで、富裕層は積極的に株式、債券、保険などの金融商品を買って資産を増やす、あるいは目減りしないように対策を打つのです。 また、不動産を買って運用するなどして、資産の保全を図(はか)ります。 そうして膨らませた資産を次世代に移すイベントが相続です。 実は、不動産は相続の際、きわめて有効な資産防衛手段です。 相続にあたっては、所有している不動産は、土地部分については路線価評価、建物については固定資産税評価によって、課税評価総額が決まります。 現金で持っていれば額面通りの査定になりますが、不動産の評価は時価(じか)(実勢価格)よりも安く評価されます。 これが、不動産が相続対策として有効であると言われる所以(ゆえん)です。 なかでも、超高額マンションの代表的な存在でもあるタワマンの節税効果がとりわけ高いと言われています。
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