J1初年度で躍進も…町田が抱える集客課題 OBが明かす苦労「無料チケットも重要だけど」【インタビュー】
【専門家の目|太田宏介】Jリーグの観客動員数が増加、今後の課題を太田宏介氏が考察
Jリーグは10月20日、今シーズンの入場者数が1044万5133人となりリーグ戦における最多入場者数を更新したことを発表した。今後も日本サッカー界発展のため、集客は継続して大きな課題となるなか、FC町田ゼルビアでクラブアンバサダーを務める元日本代表DF太田宏介氏も「本当に地道な作業」と、その苦労を語っている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也) 【動画】「圧巻の一言」J2なのに…収容率88%の壮観スタジアム J1超えの光景に「目を疑った」 ◇ ◇ ◇ 今季の入場者数は、20日に発表された時点で、2019シーズンのリーグ戦総入場者数1039万7482人を上回った。各クラブで新規集客が行われた結果が表れており、今シーズンJ1に昇格した町田も徐々に入場者数が上がっている。J2リーグを戦っていた2023年シーズンはホーム最多が1万1918人だったのに対し、今季はJ1昇格に伴いホーム最多が1万3506人となった(国立競技場開催を除く)。 クラブアンバサダーを務める太田氏は「サポーターたちをどうやって増やしていくか。クラブ内で何度も議題として取り組んできました。Jリーグ全体でも観客動員数は伸びていますし、今後さらに伸ばすことは大事ですね。単純に数年で結果が出るものではないので、コツコツと取り組む必要があります。本当に地道な作業です」と、J1初年度で上位に位置する町田も、集客の点では苦労していることを明かした。 「町田も、よりファンの方々に誇りをもってもらえるようなクラブにならなければならないです。既存のサポーターが新たな仲間や知り合いをスタジアムに連れてきてくれるような積み重ねが大事。無料チケットを配ってスタジアムに来てもらうきっかけを作るのもすごく重要ですけど、もっともっとそれぞれのクラブが地域との関係をコツコツ作り上げていくことが一番かなと思います」 またクラブに関わる太田氏だからこそ、そうした事業面(観客動員など)と現場のサッカーの面での両立が難しいことにも言及する。「例えば、観客数はすごく伸びてチームとしても成長しているなかで、肝心の結果が出ないクラブがあれば、逆に結果は出ても事業面で苦労しているクラブもあります」。町田はその面で、株式会社サイバーエージェントが母体となったことの恩恵を受けている。 「サイバーエージェントさんが入って、劇的にチームの状況が変わりましたね。選手の獲得も含めて、スタジアムや施設の面もそうです。クラブの発展に必ず必要となる要素にはなってくるのかなと思います。地域に応援してもらえるクラブが増えることで、金銭的な面での環境も変わってくるかもしれません。事業で成功された方がスポーツで投資する例がもっと出てきてほしいですね」