スーパーの刺し身を食べたらアニサキスに当たりました。スーパーに慰謝料請求はできますか?
スーパーでは新鮮な刺し身が販売されており、そのまま食べるもよし、手巻きずしや丼などにしてもよしと楽しみ方もさまざまです。 食中毒になることはまれですが、もし購入した刺し身が原因でそうなってしまった場合、販売していたスーパーに慰謝料請求はできるのでしょうか。 本記事では、スーパーの刺し身でアニサキスに当たった場合を想定し、解説します。
アニサキスによる食中毒の症状とは
アニサキスは魚に寄生する白い糸のような寄生虫です。サバやイカ、サケ、カツオなどさまざまな種類の魚に寄生します。寄生している魚が生きている間は内臓の中に生息し、寄生主が死亡した後は筋肉に移動するのが特徴です。 厚生労働省によると、令和4年度で最もアニサキスによる食中毒が発生した月は6月で80件でした。年間発生数は578件です。令和4年度は例年に比べ、患者数が200人ほど多かったことがわかっています。 アニサキスによる食中毒になると、「急性胃アニサキス症」「急性腸アニサキス症」という症状が出ます。急性胃アニサキス症は食後数時間後~十数時間ほどでみぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐(おうと)などの症状が出る食中毒です。急性腸アニサキス症は食後十数時間後~数日後ほどで、激しい下腹部痛や腹膜炎の症状が出る食中毒です。
スーパーに損害賠償請求することは可能
アニサキスによる食中毒は魚をそのまま食べずに冷凍したり、加熱したりすることで防止できます。ただ、それらが不十分だった場合は食中毒症状が出てしまう可能性もないとはいえません。刺し身は生のまま食べるため、十分に注意して食べる必要があります。 実際には、お店で販売されていれば、何も問題ないだろうとそのまま食べてしまう人は多いでしょう。 ■損害賠償を認めてもらうには 刺し身を購入したスーパーに損害賠償請求し、それを裁判所に認めてもらうためには証拠が必要です。食中毒になった原因がほかのものではないとわかる記録があるかどうか、例えば、購入当日のレシートなどは有効といえます。さらに、スーパーの過失、食中毒になった本人が受けた損害も判断材料になるものです。 ■アニサキスの食中毒で損害賠償が認められた事例 こちらはスーパーではなく、飲食店で刺し身定食を食べたことで食中毒症状が出たことからお店側に損害賠償請求した例です。こちらの例では原告の損害が認められ、裁判所からお店側に50万円ほどの慰謝料を含めた支払いを命じました。 もし、アニサキスの幼虫が魚の身にいれば、見ただけですぐにわかるため、十分に確認しない状態でお客に刺し身を提供したことになります。つまり、お店側の注意義務違反があったと判断されたわけです。
損害賠償請求するにはアニサキスの食中毒になる原因がほかにはなかったことが重要
アニサキスによる食中毒は吐き気や腹痛、下痢などさまざまな症状が出て、苦しい状況が続きます。 ただ、スーパーで購入した刺し身が原因であっても、証拠がなければ損害賠償請求は認めてもらえない可能性もあります。スーパーに損害賠償請求したい場合は、刺し身を購入したレシートやほかには生の魚を食べていない証明など、証拠を十分に用意しておきましょう。 出典 厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部