武藤議員釈明会見で波紋 “異例”ではない雑誌記者ら締め出し
安保法案をめぐる議論などに関連し、またぞろ、「記者クラブ問題」が浮上しています。法案反対の若者たちを「極端な利己的考え」と批判し、金銭トラブルなども浮上した武藤貴也衆院議員(問題発覚後、自民党を離党)の釈明会見もその一つ。8月26日の会見で武藤氏は、記者クラブ所属の記者しか参加を認めませんでした。武藤氏会見ほどの騒ぎにはなっていませんが、記者クラブ問題はこの夏もあちこちで起きていました。 <調査報道(1)>「権力が隠す真実」を「発表に頼らず」報道する
国会議員会見では「日常的な光景」
東京都内で行われた武藤氏の会見には、自民党記者クラブ(平河クラブ)と同氏の地元である滋賀県の県政記者クラブに所属する記者だけが出席できました。金銭スキャンダルを最初に暴いた週刊文春などの雑誌記者、ネット・ニュースの記者らは締め出し。会見場の入り口では、はじき出された雑誌記者らが「なぜ入れないのか」「そっちこそ利己的だ」といった大声も飛び交ったそうです。 国会議員による記者会見は一部の例外を除き、与党側は自民党記者クラブ、野党側は野党記者クラブが取り仕切って行われます。それに加え、今回のような“事件”があったり、国会議員が各地に赴いたりした場合は、地元で政治取材を担っている県政記者クラブ(あるいは府政・道政・都庁の各記者クラブ)も参加します。いずれの場合も、当該の記者クラブ所属でない限り、通常は会見に参加できません。従って、武藤氏会見での雑誌やネットの締め出しは“異例”でも何でもなく、日常的な光景だったと言えます。 現在、記者クラブの加盟資格は事実上、日本新聞協会か民間放送連盟の加盟社(つまり大手マスコミ)で働く記者に限定されていますから、中央であっても地方であっても、雑誌記者らが要人の会見に参加する道は、ほぼ閉ざされています。大手マスコミ幹部と首相らが頻繁に会食を繰り返している事例に象徴されるように、取材する側とされる側の“癒着”“二人三脚”ぶりはすっかり世間にも知れ渡ってきました。そのため、今回の武藤会見の締め出しを知った記者クラブ「非」加盟のフリー記者らの間では当然のように、改めて怒りや諦めなどが沸き上がりました。