連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「ギャル史をスタッフ一同、大真面目に勉強しました」
――第1話から、朝ドラ定番の主人公が水に落ちるシーンが出てきて大変面白かったです。1話に入れようと思ったのはどんな意図なんでしょうか? 「脚本家の根本ノンジさんも私も朝ドラが大好きなんです。だからこそ、今回新しい何かをやりたいと思って。例えば、若い世代の方々にも見てほしいっていう思いもあって、平成やギャルをテーマにしました。一方で、これまで見てくれた人、朝ドラが大好きな人へのラブレターみたいなものとして、水落ちシーンを初回に入れました。後ほど、“助ける、支える”ということもテーマとして関わってくるのですが、それなら最初に見てもらおうじゃないかっていう思いが実は裏側にあって。物語とちょうどリンクする出来事でもあったので、初回に入れました」
――朝ドラヒロインとしての橋本さんの魅力をどのように感じているかお聞かせいただけますでしょうか。 「大変な時でも、ペースを崩さず、私たちを引っ張っていってくれるんです。彼女が主演として変わらない笑顔でいてくれているのが安心感に、そして物語にもつながっています。今回の結という役はスーパーな人間では全くなく、おじいちゃんやお姉ちゃんなど周りがすごく個性的なんです。今まで橋本さんはいろいろな役を演じてこられたと思うのですが、今回は、取り立てて何かの能力を持ったというわけではない結を演じてもらうことで、新しい部分を引き出せるんじゃないかと。裏話を一つ言うと、私『NHK紅白歌合戦』に橋本さんが出ていた時に、嫉妬したんですよ。紅白って、いろんなスーパースターがいるじゃないですか。そんな中で、本当に無理なく、スターたちをしっかりと受け止めて、進行している姿を見て、この様子をなんで本業である芝居で先に見せられなかったんだろうと悔しい思いをしたんです。周りにいろんな面白い人がいて、それを受け止めて、必死にそれを吸収しながら頑張っている役が、橋本さんの新しいお芝居の魅力につながるんじゃないかな、面白いんじゃないかなと思っていたんです」 ――先日、橋本さんのギャルビジュアルが公開されてたくさんの反響がありましたよね。 「実はこのビジュアルは結構特別なシーンで、結がギャルマインドを持った後の服装は、時代考証に即したものになっています。最初にインパクトあるものを出したいという思いで公開したのがあのビジュアルです。ギャルにも時代とグラデーションがあって、93年ぐらいからのコギャルや、安室奈美恵さんに憧れていたアムラー世代、2000年に近付くにつれてガングロギャルが登場して。そんな中、98年に浜崎あゆみさんがデビュー。今回の2004年は全員がルーズソックスをはいていたような時代ではなくて、清楚というところも入ってきた頃なんですね。平成だからといって一色にするつもりはなくて、時代に即したものをきちんと描きたいという思いがあって、1年半ぐらい前から雑誌の『egg』さんに取材などをしながら、スタッフがギャル史を50ページくらいにまとめたんです。80年代ぐらいから書かれているんですけれども、ギャルという言葉の起源などを勉強しながら、大真面目に、学術的なぐらいの勢いでまとめました。結は全盛期のギャルではなくて、90年代のいわゆるコギャルのような私たちがイメージするギャルは姉の歩(仲里依紗)に託していると。そこは安室さんの世代で、私も通ってきた世代です。時代考証はルミリンゴさんという伝説のパラパラギャルだった方に担当してもらっているので、期待していてほしいです」 ――今後はいろいろなギャル姿が出てくるのですね? 「このビジュアルを見て『これはギャルじゃない!』っていう反応もあって、その通りだなと思うんですけど。今後は、本人が選んだ好きな格好や、考証に基づいたギャルというのが出てくるので、楽しみにしてもらえればと思います」