ゼレンスキー氏、インドや南アフリカの引き寄せ課題 平和サミット閉幕
ロシアに侵略されるウクライナのゼレンスキー大統領が提唱する和平案の実現に向け15~16日にスイスで開かれた「世界平和サミット」では、参加した100カ国・機関のうち約80カ国が共同声明に署名した。ゼレンスキー氏としては対露圧力を高めるため、ロシアに近く、署名を見送るなどした「BRICS」諸国をいかに引き寄せられるかが今後の課題となる。 【写真】スイス・ビュルゲンシュトックで開かれた「世界平和サミット」に出席したゼレンスキー大統領 ゼレンスキー氏は16日、サミットを「成功」と評価した。ただ、ウクライナの「領土保全の尊重」などをうたった共同声明にはインドや南アフリカ、ブラジルといったBRICSのメンバー諸国は署名しなかった。 ゼレンスキー氏は「目標は世界全ての国が戦争終結のために結束することだ」と強調し、第2回サミット開催に向けて既に準備を始めていると表明。今回サミットを欠席した中国に関しては、「ロシアに強い影響力を持つ中国がウクライナの友人になることを願っている」と述べた。 BRICS諸国は同じメンバーであるロシアへの配慮が強い。サミットではロシアの参加を求める声も上がった。そのロシアはウクライナが事実上の敗北を認めることが停戦の条件とする強硬姿勢に出ているが、ウクライナとしては受け入れられない。 ゼレンスキー氏としては対ロシア制裁逃れの封じ込めを図る欧米と協調し、親露姿勢が国際的孤立や国益の喪失につながるような国際状況をつくりだし、BRICS諸国をロシアから引き離したい考えとみられる。