【市川團十郎】 新橋演舞場1月公演 「忠臣蔵」で日本人にエールを! 同級生・菊之助にも寄り添いたい
さらに“基本的には「表」っていうのは「仮名手本忠臣蔵」ですよ。「裏」というのは外伝、今でいうスピンオフですね。そのスピンオフを本作に入れることを、裏表という認識だと思うので、そういう意味では斧定九郎という、本作の中では一言で終わってしまう人間にもフォーカスを当て活躍しますし、加古川本蔵と由良之助のやり取りも追加し、また、おかると勘平の部分も裏表という形で、ここは娘のぼたんと、せがれの新之助にやってもらおうかなと思います”と語りました。 大星由良之助、早野勘平、斧定九郎、高師直の4役を務める團十郎さんは、どのように演じたいか問われると“歌舞伎とは別の感覚で普通にしゃべると、ただのパワハラですよね、単純に。全体的に権力を持ったおじちゃんがパワハラしてるだけの話じゃないですか。言い方悪いか(笑)。それを現代の方々にも、もうちょっとわかりやすく「そりゃそうなるわな」というところから、日常生活の中で慢心している人間が、そういうことを起こしてしまい、大きなことになっていくということの中でのストーリー性をやっぱり重要にしたい。高師直に関しては、そういう傲慢な周りのことが見えてない…、今もいるじゃないですか?資本主義の上の方にいるおじいちゃんたちみたいな…、ああいうような人物像を歌舞伎として表現していきたいと思います”と意気込みました。 さらに大星由良之助については「貫く男。でも、そういう人間でありながらも遊んでる部分もある。この遊んでる部分は何なのかっていうことも、ちょっと写実にリアリティを持って表現したい。内蔵助は日本人を代表する人物。勤勉だし、真面目だし、忠義だし、今の我々は真面目に働き、時間通りに来て、仕事もきちんとやる。でも、なぜか報われないような部分が多かったりしますよね。こういう昨今の日本の中で、報われる忠実な男を作り上げたい。日本の今の忠実な男、誠実な男をやっぱり報われる男にしていきたいっていうのが、僕の由良之助のビジョンです“と語りました。