伝説的ギタリスト、ジミー・ペイジになりきって全米スターになった日本人の物語
桜井 ええ。向こうではあまりしゃべらないクールガイだと思われています(笑)。でも活動には特に支障は感じませんね。JBLZEのライブでジェイソンは、僕を紹介するときに必ずこう言うんです。 「彼は英語がしゃべれないんだ。だけど俺たちは音楽で会話をしている!」 音楽って本当に言葉は関係ないんです。僕らはツェッペリンという共通語を持っていますから。 ――ミドルエイジになってから全米進出を果たしてしまった桜井さんの行動力はすごいですね。 桜井 僕は17歳のときからずっと変わらないんです。ずっとジミー・ペイジになりたいと思ってきたし、それは今も変わりません。 そう考えると、自分が少年のときにハマったものは一生手放さないほうがいいのかもしれません。車やバイク、スポーツでもなんでもいい。自分が没頭できることを諦めずやり続けていくことで、新しい道が開けていくのかもしれませんね。 ●ジミー桜井 JIMMY SAKURAI 1963年生まれ、新潟県出身。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジに深く影響を受け、そのギタープレイの完全再現を目指す孤高のギタリスト。1994年に「MR.JIMMY」を結成。2012年に渡米しバンド「Led Zepagain」(すでに脱退)や「JBLZE(Jason Bonham's Led Zeppelin Evening)」などで全米各地のツアーを実施する。現在はロサンゼルスを拠点に活動中 ●『MR. JIMMY ミスター・ジミー レッド・ツェッペリンに全てを捧げた男』 監督:ピーター・マイケル・ダウド 出演:ジミー桜井 新潟県十日町市で育った桜井昭夫は高校時代にレッド・ツェッペリンと出会い、ジミー・ペイジのギターのとりこになる。やがて上京した彼は、昼は着物のセールスマンとして働きながら、夜はペイジのギタープレイを披露する「ジミー桜井」として活動。35年にわたり、東京の小さなクラブでレッド・ツェッペリンのビンテージコンサートを完璧に再現してきた男の人生は、ある男との出会いによって大きく動き始める 取材・文/尾谷幸憲 撮影/下城英悟