巨人スカウト元部長が佐々木朗希を語る「もし巨人が獲得していたら、必ず週一でローテーションを回ってもらう」
佐々木朗の決勝登板回避に持論「同じチームメイトだったらどうかなと思う」
――高校生のレベルは上がってきていると感じますか? 長谷川監督 それはもちろん感じます。球種自体も昔と違ってすごく増えてきました。今は中学から軟式ではなく硬式をやる子も増えたので、昔はストレートの次にカーブから入ったものですけど、今はストレートの次に投げるのが8割以上スライダーですね。だからヒジにも負担が行くのかなと思います。 ――スカウト目線からして、高校生の球数問題はどう感じていましたか? 長谷川監督 登板過多、投球過多は決して良くはないでしょうけれども、ある程度の投げ込みというのはしないといけないと思います。多く投げることによって、最後のリリースポイントで力を集約することを覚える。 それが普段から20球、30球しか投げてないと、もう体全部使って投げ込むので、何かの拍子に起きてしまうケガの度合いが大きいんです。これが80球、150球となって昔のように200球を投げていた時代は、全部を全力で投げていたわけではないんです。最初力を抜いて、最後リリースポイントに集約する。そこでピッチングのコツを覚えていくということが必要だと思います。 ――その意味では佐々木投手が県大会の決勝戦で登板しなかったことは当時議論を呼びましたね。色々な兼ね合いもあると思いますが、そういった面も含めて1位を奥川投手に決めた事にも繋がっていたりしますか? 長谷川監督 僕はその不安要素を踏まえても、彼の1位は揺るがないぐらいの評価はしていました。けれども奥川投手も当然素晴らしいピッチャーですし、仕方ない部分もありました。ただ、僕が大船渡の佐々木のチームメイトだったら納得せんでしょうね。一緒に3年間やってきて、最後ここで勝てば甲子園っていうその大舞台をかけた試合を、1人の将来を考えたという名目のもとに投げさせなかった。僕が同じチームメイトだったらどうかなと思いますね。 ――プロに入ってからケガもありましたが、佐々木投手の体が追いつかないといったこともあるのでしょうか? 長谷川監督 やっぱりそれもあると思いますし、もし巨人に入っていたら、今みたいなスパンでは投げられなかったと思います。ロッテさんがやっていたような間隔での登板は無理でしょう。1回投げたら登録抹消して2週間空けることはできません。 ――もし巨人に来ていたらローテーションの一角として投げてもらうつもりでしたか? 長谷川監督 巨人であればローテーションに入ったら、もう中6日、中5日で回ってもらう。1週間にいっぺんは登板しないのであれば、巨人のローテーションピッチャーではないと思います。巨人は常勝球団ですから、勝つための戦力として「ローテーションを担う」ことを教育すると思います。 ――時代が変化している中でも、根幹の部分は変わらないということですね。 長谷川監督 やはり勝負事ですから。相手と試合をして勝たなきゃいけない。大学では自分が50球投げたから1週間休んで次は30球で投げるというのは、自分の自主トレーニング。統率力を高め、深めた上で、野球というスポーツをしながら教育していくっていうのは、自分のエゴを通すよりは我慢する部分の方が圧倒的に多いわけです。社会に出た時もその経験があると頑張れるんじゃないでしょうか。