<咲き誇れ!センバツ広陵>「全員で1点」自信に 逆転勝ちの試合教訓 「つなぐ」練習 /広島
18日に開幕する第96回選抜高校野球大会に出場する広陵ナインには忘れない試合がある。2023年9月の県大会2回戦の呉港戦。初回に一挙5点を奪われ、その後も守備や走塁のミスが重なり、悪い流れが続いた。終盤に逆転し勝利したが、この試合の教訓からチームは基本に忠実な練習を繰り返し、成長した。【武市智菜実】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 試合は五回表までに6点差に広がり、どんなピンチでも動じないエースの高尾響投手(2年)も「初めての経験で、動揺するというより何も考えられなかった」と振り返る。 3失策が失点につながり、この冬は基本に戻り、守備の練習を繰り返した。ノックでは正面のゴロを確実に捕球し、手で転がしたボールを何度も捕球した。捕球から送球までの一連の動作の「形」と「リズム」を体に染みこませるための練習も徹底的に反復した。内野手の沢田光選手(2年)は守備力が安定してきた実感があり、他の選手にも、グラブが浮くくせの改善などをアドバイスしてきた。 ミスが目立った走塁についても基本練習を繰り返した。トップスピードに乗るのに重要な「最初の3歩」の踏み出し方やベースの蹴り方を確認。外部から呼んだコーチに走り方や速く動くための重心移動のコツを学んだ。進塁するかしないかの判断をしながら、無意識に速いスタートを切ることを目指して、基本動作を体に覚え込ませてきた。 呉港戦で「走塁ミスで満塁のチャンスをつぶした」と悔しがる土居湊大選手(2年)は「頼れるエースの響が安心して投げられるよう、守備や走塁の練習などを頑張ってきた」と話す。 一方、呉港戦は打撃面で収穫があった。「落ち着いて1点ずつ返していこう」。今年は引退した3年生ほど長打力はなく、五回裏以降に重ねた得点のほとんどは犠飛や安打をつないだ結果だ。浜本遥大選手(2年)は「しぶとく粘って、つないで、全員で1点を積み重ねた」。只石貫太主将(2年)も「全員が諦めることなく逆転勝ちできたのは、チームの自信になった」と振り返る。 今冬の練習では長打を狙うのではなく、ゴロやライナーを打ち一つ一つ塁を進める「チームバッティング」に取り組み、3月に入ってからの練習試合でも成果が現れている。逆方向に打つことを意識してきた沢田哉斗選手(2年)も「出塁率が高くなった」。スイングの軌道を修正してきた酒井綾希人選手(2年)は「軌道の上げ下げをして最終調整している。調子が良くなっている」と手応えを感じている。 中井惇一部長は「全体の動きのキレは良くなってきている。センバツでどう発揮するかが楽しみだ」と期待する。