「リハビリ」と謙遜も…欽ちゃん「仮装大賞100回」に備えて始めていた「83歳のアドリブ特訓」
1994年10月開始の『よ!大将みっけ』(フジテレビ系)で初共演した際、萩本は香取の潜在能力に気付き、近年も《苦しませると、とんでもない領域まで飛んでいける。ホント困っちゃうよねえ》(前掲紙)と欽ちゃん流の言葉で最大級の賛辞を送っている。つまり、無茶振りをすればするほど、香取の能力は発揮されると萩本は見ている。 99回大会の前には、ディレクターから香取のこんな言葉を伝え聞いたという。 《僕が最初に『仮装』に出演した時のような欽ちゃんのツッコミに、また会いたいな。今回は特別に、いつもより乱暴にツッコミをして欲しい》(2023年10月12日号/週刊文春) これに対し、萩本は《慎吾ちゃん、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。でもね、もうぼくは舞台で飛んだり跳ねたりできないから、慎吾ちゃんにこそ、いつもの倍くらい頑張って欲しいなァ》(前掲誌)と綴っていた。そして、99回大会で香取が奮迅の働きを見せると、萩本は「慎吾、最高だったな」と司会ぶりを讃えた。 一方、舞台に立ったことで、萩本のコメディアンとしての血も騒いだ。それが「もうちょっとアドリブ飛ばせるだろ」という反省に繋がったのだ。自身の出来に満足のいかない男はアドリブ力を取り戻すため、実は今年1月から「新宿バティオス」でほぼ毎月ライブを開催。事前打ち合わせなしで勝俣州和(59)、東貴博(54)らと舞台に上がり、83歳の今も貪欲に笑いを求めている。「リハビリ」と謙遜しながらも、この舞台を通して、普段は大人しく撮影しているだけのカメラマンが演者に突っ込みを入れる新しい笑いのスタイルも生み出した。 『仮装大賞』の再開をきっかけに、萩本欽一は活発さを完全に取り戻している。「欽ちゃんが出ないなら僕も出ません」と背中を押した香取慎吾も今年、精力的な日々を過ごした。俳優として舞台『テラヤマキャバレー』、ドラマ『欽ちゃんのスミちゃん』などに出演し、歌手としてニューアルバム『Circus Funk』を発売。中森明菜と『TATTOO』をデュエットして話題を呼んだ新作は、オリコン週間デジタルアルバムランキングで1位を獲得した。 この1年でパワーアップした2人が『欽ちゃん&香取慎吾の第100回全日本仮装大賞』(日本テレビ系/2025年1月13日19時から3時間スペシャル)で1年ぶりの共演を果たす。萩本は自身の納得できるようなアドリブを飛ばせるか。そして、香取慎吾は欽ちゃんの無茶振りに応えられるか。『仮装大賞』では、2人のコンビネーションも胸に刻みたい。 【PROFILE】 岡野誠 ライター、松木安太郎研究家。執筆記事〈検証 松木安太郎氏「いいボールだ!」は本当にいいボールか?〉が第26回『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞』デジタル賞に。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)では本人へのインタビュー、野村宏伸や都志見隆などへの取材、膨大な資料分析を通じ、人気絶頂から事務所独立、苦境、現在までを熱のこもった筆致で描き出した。今年開催の萩本欽一の舞台を全て観覧
(文:岡野誠)