「あのクズを殴ってやりたいんだ」は奈緒の自然体の演技が効いている(碓井広義/メディア文化評論家)
【碓井広義 テレビ 見るべきものは!!】 火曜ドラマ「あのクズを殴ってやりたいんだ」(TBS系)が佳境に入ってきた。 【写真】子供2人の七五三の祈禱を受ける浜崎あゆみ 佐藤ほこ美(奈緒)は市役所勤務の29歳。明るくて真面目な性格だが、結婚式当日になって新郎に逃げられるなど男運は良くない。そんな彼女が、訳ありの元プロボクサー・葛谷海里(玉森裕太)に恋をする。そして自分を変えるべく始めたのがボクシングだった。 互いに引かれ合っているが、どちらも相手のことを気遣うあまり、自分の気持ちをストレートに伝えられずにいた。一度は離れたものの、海里はアメリカでのカメラマン修業を終えて帰国。ほこ美はプロテストに合格するが、スパーリングで強打されて入院してしまう。 このドラマが、いわゆるラブコメであることは間違いない。しかし、どこか流し見できない磁力があるのも確かだ。たとえば、ほこ美は人一倍努力家だが、ずっと「努力に裏切られてきた人生」だとつぶやく。その上で仕事も恋も努力することをやめない。ほこ美と同年齢である奈緒の自然体の演技が利いている。 また、ほこ美の母・明美(斉藤由貴)が、ほこ美を幸せにできないと言う海里を叱る。 「勝手に決めてんじゃないわよ! ほこ美の幸せは、ほこ美が決める!」 こういう生きたセリフの連打がドラマを引っ張っていく。脚本は泉澤陽子と鹿目けい子による完全オリジナルだ。 (碓井広義/メディア文化評論家)