【不来方賞展望】カシマエスパーダ筆頭に強力な中央勢を地元の無敗馬フジユージーンが迎え撃つ!
[JpnⅡ不来方賞=2024年9月3日(火曜)3歳、盛岡競馬場・ダート2000メートル] 全日本的なダート競走の体系整備に伴い、今年からダービーグランプリと統合されてダートグレードレースへと昇格。地方、中央問わず、1着馬には新設されたダート3冠最終戦のJpnⅠジャパンダートクラシック(10月2日=大井、ダート2000メートル)への優先出走権が与えられる重要な一戦だ。1着賞金は1000万円→4000万円へと大幅にアップ。ダート3冠クライマックスへの切符をかけて、盛岡競馬場の舞台に果たしてどんなドラマが待っているか――。 JRA勢の中心はカシマエスパーダ(牡・鈴木慎)だろう。デビュー戦(中山ダート1800メートル)こそ4着に終わったが、その後は未勝利戦(中山ダート1800メートル)→1勝クラス(同)→鳳雛S(京都ダート1800メートル)と3連勝中。特に前走は、JpnⅢ雲取賞の勝ち馬ブルーサンに4馬身もの差をつけて圧勝した。2番手追走からメンバー最速の上がり3ハロン37秒4の末脚を発揮してのV。同レース3着のミッキークレストが次走のGⅢレパードSでも3着に好走しており、メンバーレベルは上々だった。左回りは未経験だが、走りに癖があるタイプではなく、鈴木慎調教師も「体のバランスに左右でブレはない」と不安視していない。4連勝を飾って大一番へとつなげたいところだ。 サトノフェニックス(牡・西園正)はデビューからダート短距離戦で連勝。続くJpnⅡ兵庫ジュニアグランプリでも2着に好走し、JpnⅠ全日本2歳優駿では5着と世代トップレベルのダート適性を示した。しかし、海外遠征を敢行した上半期はサウジダービーで10着と大敗し、UAEダービーは出走取り消しの憂き目に…。それでも闘志は全く衰えておらず、帰国初戦のGⅢレパードSでは11番人気の低評価に反発して先行策から粘り込む2着。距離にも対応して、改めて存在感を誇示した。中間も順調そのもので、久々を使われた上積みは大きいはず。前走の内容を見ると、1ハロンの距離延長も問題はないだろう。 サンライズジパング(牡・音無秀)は、JpnⅢJBC2歳優駿(門別・ダート1800メートル)でフォーエバーヤングの2着に好走したかと思えば、GⅠホープフルS(中山芝2000メートル)で3着に善戦し、年明けの若駒S(京都芝2000メートル)を勝っているという〝二刀流ホース〟。GⅠ皐月賞9着→GⅠ日本ダービー12着とクラシックを戦ってきた経験値は、今回の顔触れで明らかに一枚上のものがある。現状は芝・ダート問わず2000メートルがベストの印象。騎乗実績2戦2勝の武豊という頼もしい味方を得て、成長した姿を披露する。 タイセイミッション(牡・伊藤圭)は、ダートに矛先を変えた3月の未勝利戦(中京ダート1800メートル)でいきなり初勝利。昇級後は6、15着と敗れながら、前走(札幌ダート1700メートル)で一変して2勝目を挙げた。実績で見劣りする点は否めないが、4馬身差の完勝だった前走は勝ちタイムも1分45秒9(良)と優秀。左回りでのV実績があり、勢いに乗っての大仕事を狙う。 強力な中央勢が主力を担うが、新生・不来方賞には地元からも大きな期待を集める8戦8勝のフジユージーン(牡・瀬戸幸)が出陣する。昨年6月の新馬戦(水沢850メートル)で大差勝ちすると、そこからは連戦連勝。特に距離がマイル以上になったここ4戦は重賞で4馬身、大差、4馬身、大差と他馬を全く相手にしていない。JRA勢とは初対決だが、前走で562キロにまで成長した迫力ある馬体とポテンシャルの高さは折り紙付き。地元の夢を背負う黒鹿毛の巨漢馬が中央馬を撃破すれば、メイセイオペラ、トーホウエンペラーに次ぐ岩手からのチャンピオンホース誕生が現実味を帯びてくる。 ホッカイドウ競馬からは、北海優駿の勝ち馬パッションクライ(牡・山口竜)と北斗盃勝ち馬のブラックバトラー(牡・田中淳)が参戦。前者は先行する自分の形に持ち込めればしぶとく、対照的に後者は長くいい脚を使う点が持ち味だ。ともに道営のトップクラスでしのぎを削ってきたが、春の南関東遠征では大敗を喫している。捲土重来を期して地元で磨いてきた力を発揮することができれば、上位争いをにぎわすシーンもありそうだ。
東スポ競馬編集部