”ネット戦略”を導入する侍ジャパンの挑戦
■ファン層の高齢化 ネット視聴による拡大を期待 Jリーグなどでもファンの高齢化が問題となっているが、野球界では、さらにそれが深刻になりつつある現状突きつけられた。観客動員のリサーチで言えば、各球団によって年齢層や男女比も様々で30、40代以上の女性が多いという北海道日ハムなどの特異な例もあるのだが、テレビ視聴率の分布と同じように高年齢化の進んでいる球団も少なくない。 ネットの動画サイトは、20、30、40代とバランスのいい視聴者層に分かれていて、しかも、スマートフォンの普及で若い人たちへのアプローチが可能になる。 あくまでも、今回は実験的な措置で、どれくらいの数のどういう年齢層の人が、ネット中継によって侍ジャパンを観戦したかをリサーチ。細かいデータを集め、今後、いかにして新しい野球ファンを掘り起こして取り込んでいくのか、という次なる戦略に向けての材料にしたいようである。侍ジャパンをプロ野球界全体の活性化のためのプロモーションのアイコンとして立たせ、新しいビジネススタイルを確立しようとしているのだ。 ■サッカーに倣うスポンサーの通年化 スポンサーについても、これまでは大会ごとの募集だったが、日本サッカー協会のように代表チームに対する通年スポンサーを募集するなど新しい試みをしている。ようやく、そこに気がついたかという感もあるが、ブランドに胡坐(あぐら)を組み、スポーツビジネスのマーケティングから大きく出遅れていたNPBが、まず侍ジャパンから改革を始めたことは評価すべきだろう。それらが成功すれば、観客動員の右肩下がりに困っている一部の球団にとっても、なんらかのヒントを与え、チャンスを与えることになるのかもしれない。描いたビジョンに沿って侍ジャパン、そのものが、野球界全体の発展に大きな役割を果たすことになる。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)