EXO・レイ主催、中国の音楽リアリティーショーがすごい。100日間の異文化生活、高クオリティの舞台が見せるアジアポップスの変革
『クイック・ジャパン』のコンセプト「DIVE to PASSION」にちなんで、「私だけが知っているアツいもの」について綴るコラム企画「DtP」。 【豪華すぎる…】豊富な予算を感じさせるEXO・レイ主催の中国音楽番組 本稿ではビートメイカー/プロデューサーとして国内外のアーティストにビートを提供するLIL’OGIが、中国の音楽番組とその出演者を通じてアジアポップスの新たなムーブメントを捉える。
グローバルグループを招く中国の音楽リアリティーショー
中国では2024年3月から『百分百出品(Show It All)』という音楽リアリティショーが放送されている。K-POPグループ・EXOのメンバー、レイが主催を務めることで話題を集めた同番組の趣旨は、近年ブームのオーディションとは異なり、デビューを目指す中国の練習生グループが各国からメジャーグループを招き、100日間の異文化体験生活を送りながらともにステージを披露するなかで成長を遂げていくといったものだ。ここに出演するグローバルグループこそ、筆者が今最も注目する存在である。 本稿を執筆時点ではマレーシアのDOLLA、タイの4EVE、PiXXiE、アメリカのBoys World、フィリピンのG22、BINIといった各国を代表する人気グループが参加しているのだが、豊富なバジェットと高いクオリティを誇る中国ハイテク・エンタメの舞台で披露するパフォーマンスは圧巻。各グループのファンダムからの大きな反響はもちろんながら、活動拠点のみならず中国の若者たち(主に女性)からも支持を集めるようになっているのだ。 一方、それぞれの名が日本ではまだ一般的ではないのも実情である。その大きな理由となるのは、各組にとっての自国におけるエンタメ・インフラが現時点ではK-POPに遠く及んでいない状況だろう。実際、彼ら・彼女らはすでに備えていたパフォーマンス・クオリティの高さ、そして個性を『百分百出品』を通じて中国のエンタメ・インフラを活用することにより、他国へ発信することができている。 翻っては、T-POP(タイポップス)やP-POP(フィリピンポップス)などアジア諸国のポップスは、K-POPと同等の土俵を用意することさえできれば、魅力を今よりも広く届けることができるのではないかと思うのだ。