<サッカー五輪最終予選>北朝鮮を破ったトリックセット!
男子サッカーのリオ五輪アジア最終予選がカタールのドーハで開幕し、グループBの日本は北朝鮮との初戦を1-0で制し、幸先の良いスタートを切った。 ゲームは日本が主導権を握った序盤の10分間を除き、終始、北朝鮮に押し込まれる苦しい展開だった。次々と放り込まれるロングボールやクロスをセンターバックの植田直通と岩波拓也を中心になんとか跳ね返し続けたが、こぼれ球を奪われたり、苦し紛れのクリアや前線へのフィードを拾われたりして北朝鮮の二次攻撃、三次攻撃を浴びた。 初戦のプレッシャーからか、チーム全体の動きが堅く思い通りの攻撃ができなかったが、それでも粘り強く守り、北朝鮮のシュートミスにも助けられ、ゴールを許さなかった。 そうした守備における奮闘に加えて光ったのが、ワンチャンスをモノにする力だった。 前半4分、右サイドバックの室屋成のクロスが相手DFに当たって最初のコーナーキックを獲得した。右のコーナーにボールをセットしたのは、左サイドバックで左利きの山中亮輔だ。山中の蹴ったボールは緩やかな弧を描き、ゴール前に飛んでいく。 その瞬間、岩波がニアへ、MF遠藤航とFW鈴木武蔵が中央に突っ込んで相手DFを引き付けると、ボールは彼らの頭の上を通過し、ファーサイドに向かっていく。 そこに待っていたのが、植田だった。 ひとりファーサイドにサッと動いてマークから逃れると、右足のインサイドで丁寧にインパクトしたボールが北朝鮮のゴールネットを揺らした。 「セットプレーは『決めてやる』という気持ちでやっていた。フェイントをかけて入ったら、低いボールが来たのであとは決めるだけでした」 そう振り返ったのは、殊勲の決勝ゴールを決めた植田である。ニアに飛び込んで囮となった岩波も得点シーンを説明する。 「いろんなトリックの練習をしていたんですけど、あれはうまくブロックする形。北朝鮮も最初のコーナーキックだったので迷っていたし、最初のコーナーキックで点が取れたことでチームも楽になった。このゴールを守り切っての勝利なので、改めてセットプレーの重要性を感じました」 岩波の語った「いろんなトリック」のセットプレー――これこそ、最終予選に備えてチームが入念にトレーニングを積んだものだったのだ。