新人選手の年俸上限“1,200万円”、「ABC契約」が撤廃…Jリーグの“選手契約制度の大幅改定”に吉田麻也「日本のスポーツ界にとっても大きな一歩」
吉田麻也がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「吉田麻也の切り替えて行こう!」(毎週土曜9:30~9:55)。吉田麻也が“何があっても切り替えて行こう!”というDFならではのスローガンを掲げ、最新のニュースやリスナーからのメールに鋭く反応していく番組です! 10月5日(土)の放送では、Jリーグの“選手契約制度の改定”について語りました。
「9月24日(火)、Jリーグの理事会は新人選手の年俸上限を2026年シーズンから約2倍となる1,200万円に引き上げると同時に、今まで設定されていなかった最低年俸を設定することを決定。この選手契約制度の大幅な改定に、以前から最低年俸の導入を訴えていた日本プロサッカー選手会会長の吉田も『大きな一歩です』とSNSに投稿すると同時に、関係者への感謝を述べています」 吉田:2年前に僕が日本プロサッカー選手会会長に就任してから、いくつかのスローガンを掲げてやってきましたが、“「ABC契約」(契約に関する日本サッカー界独自の制度)の撤廃”というのはずっと議論してきた話です。 そして、これは僕だけじゃなく、僕の前、もっと前の会長たちも取り組んでいたものの思うように進んでいなかったのですが、30年間変えられなかったルールを変えることができたのは、選手にとっても、Jリーグにとっても、さらにいえば日本のスポーツ界にとっても大きな一歩だったんじゃないかと思っています。 ABC契約の撤廃により、(サッカー選手は)プロかアマチュアのみになりました。逆にいうと“最低賃金240万円以下の選手はプロではない”というハードルが明確に引かれた瞬間でもあります。僕は、会長として各チームとミーティングをする機会を設けて、J2やJ3の選手たちにもヒアリングして、「新しい制度になると、今はプロでやっている選手もプロではなくなるかもしれない」という話を丁寧に説明しました。 そのなかで、J3の選手たちからも「それは、しっかり(アマチュアとプロの)一線を引くべきだ」と。本人たちにとっては多少のリスクもありますが、サッカー選手の価値の向上やステータスを上げていくためには必要なこと、ということで了承してもらい、それをもってリーグと交渉させてもらいました。 その結果、プロ契約の最小登録人数がJ1~J3すべてのクラブで“一律20人”となりました。今までJ3は3人プロ契約していれば良かったので、非常に安い賃金で契約している選手が多かったのですが、今後はそのハードルが上がるぶん、もちろん(チーム内の)予算も膨らむので、クラブへの影響も出てきます。 ですので、クラブには健全な経営をしていくことが求められますし、ルーキーの年俸の上限が1,200万円に引き上げられれば、同時に他の選手たちの年俸も吊り上がり、経営を圧迫するんじゃないかという懸念もあります。ただ、逆にこれこそがJリーガーのステータス向上につながるし、クラブはきちんと選手をスカウティングし、そこに投資をして結果を出した選手の待遇を引き上げていくことが求められるので、Jリーグ全体の成長にもつながると思っています。 近年はJリーグを介さずに海外に出て行く選手が増えています。ABC契約を撤廃したからといってすぐにそれが改善されるとは思いませんし、この流れは今後も続いていくと思います。ただ、今回の制度はそれを阻止するのが目的じゃなく、あくまで選手のステータスを上げることが一番の目的です。 また「最低年俸240万円は低い」「(ルーキーの年俸)1,200万円の上限を撤廃すべき」など、いろいろな意見を見聞きしますが、まずは大きな流れとして“ルールを変えた”という事実が非常に大事ですし、最低年俸や上限の引き上げは、これからもっとやっていけばいい。それは選手やリーグ、クラブの努力にかかっていると思います。 さらには、選手自身もいきなり大金をもらって、どういうふうにお金を使うか、どういうふうに自分の人生をマネージしていくかが大事になってくるので、選手はその辺りのマネーリテラシーもしっかり上げていくことが重要になってくると思います。いろいろ課題は山積みですが、まずは大きな一歩を踏み出せたということは非常にうれしいニュースだと思います。 真剣に話してしまいましたが、でもこれは本当にすごいことだなと思っています。僕も(ルーキーの年俸が)こんなに上だったら、その後にもらえる額も変わっていたと思うし、そうなると、リーグとしても魅力が高まってくるんじゃないかと思います。 (TOKYO FM「吉田麻也の切り替えて行こう!」10月5日(土)放送より)