センバツ2021 広島新庄、輝き見せた 八回追い上げ及ばず /広島
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第8日の27日、広島新庄は智弁学園(奈良)に2-5で敗れ、2回戦で敗退した。先制点を奪い、逆転された後の八回には追い上げを見せた。右腕エースの花田侑樹投手(3年)から左腕・秋山恭平投手(同)に継投する「必勝パターン」も、近畿地区王者に一歩及ばなかった。【中島昭浩、大坪菜々美】 広島新庄は二回、先頭の花田投手が右前打で出ると、相手のワイルドピッチで二進。平田龍輝選手(3年)が2死二塁から左前適時打を放ち、先制した。 花田投手は一、二回を三者凡退に抑えたが、三回に三連打を浴びるなど3失点。四回から1回戦で好リリーフを見せた秋山投手が登板したが、二塁打と犠飛で1失点。六回にも追加点を許した。 一方、4点を追う八回、先頭の秋山投手が左前打出塁。大可尭明主将(同)が左前打でチャンスを広げると、瀬尾秀太選手(同)が三回の失策を挽回する中前適時打で一矢報いた。 秋山投手の地元、福岡県久留米市から応援に来た父久敏さん(53)は「ヒットを一本打ち、『よくやった』と褒めたい。夏に向けてまた頑張ってほしい」と期待した。 ◇「S」に闘志込めて 広島新庄の三塁側アルプス席には4月に入学する新1年生31人も応援に駆けつけた。ナインが守備後にベンチに戻る時には「広島新庄S」と書いたタオルを力強く掲げた=写真。 入部予定の河野優輝さん(15)は「次の攻撃に向けてしっかり打ってほしい」と願いを込めた。試合は悔しくも負けたが、北川昂政さん(15)は「入部したら夏に向けて自分もベンチ入りできるよう頑張りたい」と甲子園を見据えた。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇先輩との練習実り無失策 繁光力輝選手(3年) 「必ず甲子園へ行ってこい」。三塁手の繁光力輝選手(3年)は昨春にセンバツ中止を経験した先輩から特別な思いを託され、自身初の甲子園に臨んだ。 先輩は今春卒業した同じ三塁手の浜岡琉斗さん(18)。2年前の夏、「守備が一番うまい」と繁光選手を誘ってマンツーマンで自主練に励んだ。ゴロ捕球60球3セットなど基本動作の繰り返し。繁光選手は浜岡さんの引退後も同じ練習を1日も休まず続けた。 「甲子園で成長した姿を見せたい」と意気込んだ。先発した2試合はいずれも無失策だった。だが、9打席でヒットはなく、浜岡さんと腕を磨いた送りバントを初戦で失敗した。繁光選手は「一緒に練習してきたバントを失敗するなんて……」と悔しがった。 浜岡さんは2試合ともテレビで観戦した。「やはり守備がとてもうまい。夏は甲子園に行って応援したい」と後輩をねぎらった。 繁光選手が打席で身につけた白い肘当ては浜岡さんから譲り受けた。「甲子園でも落ち着いて打席に入れた。速球に負けないくらいバットを振り込み、小技のミスもなくしたい」と夏の選手権大会でのリベンジを誓った。【中島昭浩】 ……………………………………………………………………………………………………… 広島新庄 010000010=2 智弁学園(奈良) 00310100×=5