派手さはないのに的確なドラマ構成に没入 先の展開がわかっていても面白い「オーダーブルッフ ~忌まわしきものの記憶~」
【志らべのユー、次なに見る】 現在、U―NEXTで配信中なのが、ドイツのドラマ「オーダーブルッフ ~忌まわしきものの記憶~」です。 正直なところ、世界平和とかこの国の行く末とか、そんなことは脳内に一切ない時に、なーんとなく見始めました。 別に派手なところはありません。実にシンプルに、奇をてらうような演出は何もないままに、最初の5分~10分ですっかりと引き込まれておりました。 ドラマというのは、むやみに派手な冒頭にしなくても、あるべきところに然るべきセリフと風景が入ったカットが適切に並べてあればちゃんと見る側を引き込んでいくもんなんでしょうな。これは落語にも参考になります。ま、そんなことはともかく、これはなかなかみっけもんのドラマですよ。 第1話は〝いにしえの幽霊たち〟。ポーランド国境近くの農場で遺体の山が発見されます。遺体の数から見て、殺人が数十年以上前から続いているのは明らかです。刑事のローラント・フォイトは、大規模な捜査に加わることを命じられ、ポーランド警察のスタニスワフ、元刑事のマギーも協力することに。彼らはやがて想像を絶する事実に直面し…。 私は何気なく、このドラマを見る前に作品情報を見たのですが、もう既に〝遺体の山が発見されます〟と書いてあるわけですよ。そんなことを知らない私は、その描写に「な、なんだ今のは?」とちょっとうろたえてしまいました。ただ、いい作品というのは、遺体の山がこれから出てくるぞとわかっていても間違いなく面白いもんなんですよ。落語なんてその最たるものですからね。 ドイツとポーランドの国境付近という、日本に住んでいるとなかなか馴染みのない土地で、新事実が明らかになるたび、事件の謎がより不可解さを増していきます。そして展開もスリリング。登場人物の過去も絡みあい、どんどんスケールが増していく物語に目が離せません。全8話をじっくり楽しもうではありませんか。 (立川志らべ) ※配信は予告なく終了している場合もあります