【マレーシア】展示会に国内外のEV集結 プロトン、e.MAS7予約開始
自動車の展示・販売会「オート・カー・エキスポ(ACE)2024」が、26~27日にマレーシアの首都圏スランゴール州シャアラムで開催された。国内外のメーカーが、電気自動車(EV)を展示。国民車メーカーのプロトン・ホールディングスは、今年末に発売を予定する初の自社ブランドのEV「e.MAS7(イーマス7)」の内装を初公開し、予約の受け付けを開始した。 プロトンは、EV販売子会社プロトン・ニュー・エナジー・テクノロジー(PRO―NET)を通じて、e.MAS7の予約の受け付けを開始。正式な価格はまだ発表していないが、推定価格は12万リンギ(約420万円)としている。国内で販売されているEVの大半が15万リンギを超えるとされる中、それをやや下回る価格に設定される見通しだ。 e.MAS7の車体はこれまでにも全国で展開中の訴求ツアーや試験走行などで一般公開されてきたが、内装が公開されたのは今回の展示会が初めて。内装のデザインや搭載システム、性能、乗り心地などを確かめようと、多くの来場者がブースを訪れた。 プロトンはこのほか、プロトンに出資する中国の自動車大手、浙江吉利控股集団とメルセデス・ベンツが折半出資する智馬達汽車(スマート・オートモービル)が製造を手がける「スマート」ブランドのEVや、自社の内燃機関(ICE)車も展示した。 ■BYD人気、リコールの影響軽微 会場でひときわにぎわっていたのが、中国のEV大手、比亜迪(BYD)のブースだ。同社は先月末、車両の不具合を理由に、中国で約9万7,000台をリコールすると発表したが、その影響は軽微のようだ。展示会限定の割引が適用されることもあり、その場で予約する来場者が散見された。 BYDと販売代理店契約を結んでいるマレーシアのコングロマリット(複合企業)サイムダービーの子会社サイムダービー・モーターズ(SDM)の担当者は、「リコールの対象となったのは中国向けに製造・販売された左ハンドルの車両で、マレーシアなどに輸出されている右ハンドルの車両への影響はない」と説明。「リコール発表後もマレーシアでの販売は好調で、今年2月に発売したセダン『シール(中国名:海豹)』の販売も伸びている」と話した。 展示会では、スポーツタイプ多目的車(SUV)「ATTO3(アットスリー、中国名:元プラス)」、小型車「ドルフィン(中国名:海豚)」、シール、今月15日に発売したばかりの多目的車(MPV)「M6」と、マレーシアで販売する全てのモデルを展示。「現在は全量を中国から輸入しているが、将来的には、タイからも輸入する見通し」(同担当者)という。 中国の自動車大手である上海汽車集団(SAICモーター)のマレーシア法人、SAICモーター・マレーシアは、英国発のスポーツカーブランド、MGモーターのEV「MG4」「MG ZS」のほか、今年12月に発売を予定する「MGサイバースター」を展示。このほか、欧州メーカーも自社のEVを展示した。 ■トヨタと三菱自も出展 日系メーカーでは、トヨタ自動車と三菱自動車が出展した。 トヨタは、スポーツカー「GRカローラ」、セダン「ヴィオス」、ピックアップトラック「ハイラックス」、SUVのハイブリッド車(HV)「カローラクロスHV」、ハッチバック「ヤリス」を展示した。 三菱自は、今月16日に発売したピックアップトラック「トライトン」の6代目モデル、今回新たに加わったトライトン「シングルキャブ」、今年9月に発売したMPV「エクスパンダー」の改良モデルを展示した。 ACE2024は、マレーシアの自動車情報サイト「ポール・タン」が主催。地場中古車サイト「カーロ(旧マイトゥカール)」と地場通信サービス会社タイム・ドットコム傘下で「エミットソラー」ブランドの太陽光発電事業を手がけるタイム・エナジーが協賛した。シャアラムの展示場「セティア・シティー・コンベンションセンター」で週末の2日間にわたり開催された。