街中でひときわ目立つ「ラッピングバス」 その広告効果が全然あなどれないワケ
カーラッピングの起源
カーラッピングは、“痛車”を通じて話題となり、その認知度を高めた。“痛車”とは、日本のオタク文化に由来する乗り物で、アニメや漫画、ゲームなどのキャラクターやイラストを描いたり、それらを表現したりしたものだ。 【画像】えっ…! これが60年前の「海老名SA」です(計15枚) なお、カーラッピングの起源は、ラッピングバスの広告である。 ラッピングバスの発祥はコカ・コーラだ。同社は本拠地で開催されるアトランタ五輪に合わせて、オンデマンド印刷機で印刷したフィルムでバスをフルラッピングした。塗装したりステッカーでマークを貼ったりする手法は以前からあったが、バス全体をラッピングするのは当時としては新しい手法だった。 アトランタ五輪から4年後の2000(平成12)年、日本でもラッピングバスが認知された。キーパーソンは石原慎太郎元都知事だった。石原氏はバスや路面電車の広告面積を2.7平方メートルから 「30平方メートル」 に拡大する規制緩和を行った。結果、ラッピングバスは一般的になった。そんなラッピングバスだが、肝心の広告効果はどうなのだろうか。
ラッピング広告の高い効果
ラッピング広告導入の効果はいくつか挙げられる。ひとつは 「反復性」 だ。バスは決まった時間に決まったエリアを巡回する。そのため、同じ人が同じ広告を目にする確率は非常に高い。日常生活のなかで自然に目に入り、それが繰り返されるため、広告が日常生活に溶け込み、徐々に記憶に残るようになる。 さらに、タクシーや宅配バンに比べ、車両ははるかに大きい。つまり、広告面積が広く、見る人に与えるインパクトも大きい。したがって、広告媒体としての価値は高い。 もうひとつ注目したいのは、路線バスの 「地域性」 の強さだ。路線バスは特定の地域を走るため、ターゲットを絞って広告を打つことができる。オフィス街を走る路線と住宅街を走る路線では、当然ながら広告のターゲットとなる客層は異なる。バスが走る地域の潜在顧客層を把握することで、多様な属性を持つ顧客層に訴求することが可能になるのだ。 広告効果を最も高める要因は 「費用対効果」 である。日本大学が行った「ラッピングバスにおける広告効果」に関する調査によると、1万円あたり2万7704.9人がラッピングバスを閲覧し、駅貼りポスターの1万4590.5人を大きく上回った。全体の閲覧者数は駅貼りポスターの方が多かったが、1万円あたりの費用対効果はラッピングバスの方が高かった。