靴底を見れば「姿勢の悪い人」が一発でわかる…運動指導のプロが教える「骨盤をゆがめる生活習慣」
■履き慣れた靴の「底」を見てみると… フィジカルトレーナーとしてクライアントの指導をする際には、その人の「靴底」が参考になります。靴底の減り方を見れば、ふだんどこに体重を乗せて歩いているのかがわかり、体の使い方のクセが見えてくるからです。 靴底と同様に、足の裏を見てみると、マメができている位置や皮膚の厚みから、やはり体重の乗せ方がわかります。 歩いているときの体重の乗せ方は、そのままふだんの姿勢に反映されます。ここでは、代表的な4タイプの靴底の減り方と、その典型的な姿勢を紹介しましょう。靴底なんてまじまじと見たことがないという人は、履き慣れた靴の裏を見てみてください。自分の歩き方や姿勢と向き合うきっかけになります。 私は街中でジョギングをしている人や歩いている人を眺めては、つい「この人は前側に体重が乗りがちだから、多分、足裏はこうなっているんだろうなぁ」と分析してしまいます。 足裏にはその人の体の使い方や生活習慣が現れます。それだけにトレーナーとしては非常に興味深いのです。逆に、足裏や靴底を見ずにその人の体の使い方を評価するほうが遠回りだと思います。 ■股関節が外側に引っ張られているO脚 姿勢は、ふだんの体の使い方が反映されたものであり、股関節にも影響を及ぼします。 靴底の外側がすり減っている人の典型的な姿勢は「O脚」です。大腿骨が外側に開いた状態で骨盤の寛骨臼にはまっているため、股関節は外側に引っ張られている状態です。膝から下はそれを補正するように内側に倒れていくため、脚の外側に重心がかかり、靴の外側がすり減っているのです。
■X脚は男性よりも女性に多くみられる 逆に、内側がすり減っている人は「X脚」になります。大腿骨が寛骨臼から内側に向かって伸びているため、左右の膝が近づくレッグラインになるからです。膝から下は外側に開き、重心が体の内側に来ます。骨盤が男性よりも広い女性に多く見られるものです。 前側がすり減っている人は「反り腰」です。骨盤が前傾し、股関節が常に少し屈曲しています。重心が前に来るため、つま先側が減りやすいのです。足を踏み出す際に股関節が詰まりやすく、ヒールの高い靴を履く人、運動不足の人、体幹が弱い人に多いのが特徴です。 ■デスクワークばかりの人は猫背になりやすい 後ろ側がすり減っている人は「猫背」です。骨盤が後傾し、股関節の位置が正常よりも前に位置しています。重心は後ろ寄りになるため、靴のかかと部分だけが減っていきます。股関節の伸展の動きが苦手で、デスクワークばかりの人や、高齢者に多いといえます。 ---------- 中野 ジェームズ 修一(なかの・じぇーむず・しゅういち) フィジカルトレーナー 1971年生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。アディダス契約アドバイザリー。日本では数少ない、メンタルとフィジカルの両面を指導できるスポーツトレーナー。トップアスリートや一般の個人契約者の、やる気を高めながら肉体改造を行うパーソナルトレーナーとして数多くのクライアントを持つ。現在は大学駅伝チームのトレーナーも務めつつ、講演会なども全国で精力的に行っている。おもな著書に、『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(だいわ文庫)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『血管を強くする 循環系ストレッチ』(サンマーク出版)などがある。 ----------
フィジカルトレーナー 中野 ジェームズ 修一