今年もやってきた!フランスのバイクの祭典「サロン モト レジェンド」
目抜き通りにはクリスマス イルミネーションの準備が整い点灯を待つばかり。街角にはクリスマスツリーを見かけるようになった11月下旬。気温もすっかり下がってバイクに乗るには厳しくなり始めたこの季節。やってくるのはサロン モト レジェンドだ。ヴィンテージバイクの祭典で、規模は小さいもののバイクのレトロモービルといった感じのイベントだ。 【画像】記事で紹介しきれなかった展示バイクも多数掲載。ディテールも見ごたえ満点(写真35点) サーキット走行があるわけではなく、メーカーやオーナーズクラブの展示、そしてバイク本体からパーツの売買が行われる。レトロモービルと比べると規模は小さいと言ったものの、今回初めてパリ近郊最大のコンベンションセンター、パリ・ノール ・ヴィルパント見本市会場に場所を移した。これまではヴァンセンヌの森の中に小さな展示場で何十年と続けてきていたのだが、今回から前の記事で紹介したミリポールと同じ会場、ホールまで同じ場所での初開催になったのだ。 会場に入ると、いつものように今年のテーマが展示されている。しかし会場が変わったこともありその規模は桁違い。台数も半端ではなく、またその展示されている車両もなかなかのものだ。まずはBMW 100周年記念展示。ミュンヘンの博物館からBMWの最初のバイクR32が登場。これが1923年、100年前に登場したBMW初のバイクなのだ。 その隣には戦後作られたべべルギアによるDOHCエンジン搭載のレーサーRS54。もう一台はR47。その三台を囲むようにして歴代BMWのバイクがぐるっと展示をしている。それだけでも十分に見応えがある。 その隣には80’sをテーマにしたバイクが展示されている。このあたりはもう懐かしいバイクばかりだ。日本車もフランスの80年代を飾っていて、お立ち台に上がったのはKR1000だ。1981年にプロトタイプとしてフランスに届いたこのマシンをカワサキフランスが耐久レーサーとしたのだ。もう一台はフランス人ライダー、パトリック ポンスによってデイトナ200で優勝を飾った2スト 750cc YZR750 OW31。この二台を囲むように懐かしいバイク達が並ぶ。 会場が広くなった分、展示ブースも増えて、お次はフランス国家警察のバイクのブースだ。戦後回収したBMWのバイクをほぼコピーして作られたラティエのC6Sに始まり現在採用されているBMW R1250 RTまで。中にはBMW R60/2を改造してサイドカーとしたモデルなどもある。サイドカーといっても人を載せるのではなく、当時警察で使われていたBMW R60を運搬するためのものだ。 今年100年を迎えたフランスのブランドとしてはモトベカン、そしてDOLLARがあり、それらも展示されていた。オーナーズクラブでは”vieilles japonaises 2 temps”(2スト日本旧車会)なんていうものも。とにかく日本車の2ストは大人気だ。そういえばフランスの6気筒好きは、今回はおとなしかった。 僕がフランスに来始めた30年ほど前によく見かけた50ccの改造車。ちょっと田舎へ行くと、モビレットのような前輪の上にエンジンがあるようなモデルを、チャンバーを代え、フレームを強化したものをよく見かけた。それはやはりまだ生きていて、カーボンパーツを使ったカスタムが展示されていた。それとは逆にモビレットのエンジンを載せ替えて電動車にしますというガレージもあった。ヴィンテージ二輪にも、電動化という選択枠がでてきたようだ。 主催者の話だと、ここに移った大きな理由は展示のことよりも駐車スペースだという。20年続いたパークフローラルでの展示は駐車スペースが限られていたこと。ここに移って十分なスペースが確保できたこと。そのためバイクでの駐車は無料で開放できるのだということ。「お客さまあってのイベント」と心得ているなんて、ここフランスではなんとも珍しい。たしかに会場はまだまだスペースに余裕があったので、来年はさらに何か大きなことができるのではないかと期待が膨らむ。ワクワク一杯のイベントに成長したSalon Moto Légendeなのだ。 写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI
櫻井 朋成