なぜ土砂崩れは起きたのか 地面に亀裂…今月から復旧工事予定で 専門家は
南海放送
なぜ、この場所で土砂崩れは起きたのか。現場付近では去年の大雨の影響で地面に亀裂が見つかっていて、市が復旧工事に着手していたところでした。 近隣住民: 「何年か前にもここがザーッとこんな風に流れて土が。マンションの横に小さい川があって、そこからすごく流れてきて」 土砂崩れが発生した愛媛県松山市緑町は、松山城の北側の麓に位置し、民家やマンションなどの住宅が密集している地域です。 県によりますと、現場は土砂災害の危険がある「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されていました。 Q急傾斜地崩壊危険区域は知ってる? 大学生: 「松山城の近くは結構危ないと聞いたことがあります」 大学生: 「知らなかったですね。きょう初めて知りました」 男性: 「城山は頑丈だと思っていたんですけどね。ちょっとびっくりというか怖いですよね」 土砂崩れ直後に現場を訪れた専門家によると、もともと一帯は土砂災害の危険性が高いエリアだといいます。 愛媛大学 岡村未対氏: 「ここはもう風化した真砂土という土が表層に堆積しているところで、一定の雨が降ると危険だと警戒地域に指定されています」 5年前、チャンネル4は、松山城の北側の斜面で「急傾斜地崩壊危険区域」を取材しました。 松山城の城山は過去に、2010年には南側の斜面が崩れ、愚陀仏庵が倒壊。北側は、2018年の西日本豪雨の影響で崩れた斜面もあるということです。 もともと危険性が指摘されていた地域。一方で、取材を進めるとこんな情報も。 近隣住民: 「山の上の方ね。今年の11月頃まで工事予定だったんでしょ」 近隣住民: 「7月1日に歩いて行ったら『工事をするから通れんようになるよ』と。その時に見たら(地面に)20センチくらいヒビが入っている。『早せにゃ崩れるよ』と言ってたら崩れた。その場所が」 松山市によると、今月1日から、城山の北側で去年の大雨の影響で傾いた緊急車両道の擁壁を復旧する工事を行っていたということです。 工事では、断続的に降った大雨で擁壁の傾きがひどくなったことから市は応急処置として擁壁を壊す作業を実施。 市の担当者によると、地面には長さ10mほどの亀裂が発生し、道路が20センチほど傾いたということです。 近隣住民: 「本当は梅雨に入る前に完了してたらよかった」 市は、去年の9月頃から復旧工事に向け動き始めていたが、文化庁の許可や委託設計などを経て今年7月からの工事着手予定となったということです。 地盤や地滑りが専門で、愛媛大学防災情報研究センターのネトラセンター長です。 ネトラセンター長: 「砂岩というのは水が入りやすい。雨水が水がすっと入って入るものと出ていくもののバランスが取れなくなったら入るものが多くなったら崩れてしまう。あるいは亀裂がどこかにあって、亀裂から一気に水が入ってそれが崩壊の原因になってしまったことが考えられる」 詳しい調査には入れていませんが、今回の災害の要因をこのように推察しています。 「基本的に岩盤であっても土であっても、亀裂から水が入るのはかなりの圧力がかかってしまうのでだから、圧力によって崩壊が起きてしまうのが崩壊のメカニズム。(降り始めからの雨量)200ミリというのは浸透して普通の斜面は簡単に崩壊しないともいえるが、たぶん亀裂があったり何か特別な理由があったのかなと」