三菱商事、加リチウムプロジェクトに参画。2027年の生産目指す
三菱商事は5日、カナダのフロンティア・リチウムが100%保有するカナダのPAKリチウムプロジェクトへの新規参画を目的として、同プロジェクト権益を引き継ぐ新会社に2500万加ドル(約26億円)を出資し、同社の株式7・5%を取得することでフロンティア社と合意したと発表した。併せて同社は25%までの株式買増しの優先交渉権も取得した。同社がリチウム資源開発案件に参画するのは初めて。2027年ごろにガラス・セラミックなどの工業用途の高品質精鉱、30年ごろに電池用途のリチウム化成品の生産開始を目指す。年間生産量は炭酸リチウム換算で約2万トン、山命は20年超になると見込む。 同社は、同プロジェクトの資源量が北米有数であることに加え、鉱石品位が北米最高水準にあると評価し、同プロジェクトへの参画を決めた。今回の引き受け対価である2500万加ドルは同プロジェクトの事業化調査や環境許認可取得準備などプロジェクト建設開始前に必要となる資金に充当される。さらに最終的な事業化調査(DFS)完了後には同社が合弁会社の権益17・5%を追加取得し、合計25%の権益を取得する権利も得た。 同プロジェクトは、鉱山と精製プラントを含む開発案件で、13年にリチウム資源のポテンシャルが確認され、その後の探鉱活動で順調に資源量が積み増されてきた。現状では5850万トン(酸化リチウムベース)の資源量が見込まれている。同プロジェクトは鉱業が盛んなオンタリオ州に所在し、水力発電由来のクリーンな電力が活用できるため、低環境負荷のプロジェクトになると期待されるとともに、北米のEV市場へのアクセスにも適する。加えて、採掘予定の鉱区以外に複数の探査鉱区を有しており、今後の探査状況次第ではさらなる資源量の積み増しが見込まれる。 リチウムは、車載用蓄電池の重要な原料で、今後の需要急増が見込まれる一方、供給が追い付かず中長期的な供給不足が懸念されており、安定供給が課題となっている。