梅雨時こそ感染源の蚊を退治 大阪府デング熱対策呼びかけ
昨年夏、国内での感染が判明して騒動を引き起こしたデング熱。感染源はヒトスジシマカで、今年は防除対策で先手を打ちたい。ヒトスジシマカは小さな水たまりを好んで産卵する。大阪府では蚊が発生しやすい梅雨時の今こそ、府民に住まいの周囲の水たまりをなくすことで、ヒトスジシマカの発生を未然に防ぐことを呼びかけている。
小さな水たまりを好んで産卵
デング熱はデングウイルスが感染して発症する熱性感染症で、発熱や頭痛、ひふの発疹などが、主な症状だ。日本ではヒトスジシマカが感染を媒介し、人間から人間へ直接感染することはない。 有効なワクチンはないものの、体内からウイルスが消失すると症状も改善する比較的良好な感染症だ。感染しても発症しないことが多い。昨年8月、東京都の著名公園で感染が判明。一時は大阪府をはじめ各地で感染者が確認されたものの、秋が深まりヒトスジシマカの成虫が死滅すると、感染は終息した。 感染源であるヒトスジシマカの防除が、有効なデング熱対策となる。ヒトスジシマカは5月中旬から10月下旬まで活動する。中でもヒトスジシマカが発生しやすい梅雨時の今こそ、産卵やふ化を防ぐことが重要だ。 ヒトスジシマカの発生源は大きな公園だけではない。むしろ、住宅の周囲にある小さな水たまりが要注意だ。ヒトスジシマカは小さな水たまりを好んで産卵する。産卵後、水中に生息し、幼虫、サナギを経て、10日間前後で成虫になる。産卵できる水たまりをなくすか、産卵されても成虫になるまでにたまり水を捨てれば、成虫が発生しにくい。
1週間にいちどたまり水を除去
住まいの周囲にある小さな水たまりとはどんなところか。庭やベランダで雨ざらしの用具、植え込みに捨てられた弁当の殻や食品容器、空き地の草むらに放置されたビニール袋や空き缶、身近な植木鉢の受け皿などだ。古タイヤや支柱立てなども、空洞部分に水がたまりやすい。 住まいの周囲に小さな水たまりが意外と多いことに驚かされるが、大阪府健康医療部保健医療室医療対策課の田邉雅章参事(感染症対策担当)は「不用意に水をためない暮らし方を」と指摘し、次のように話す。 「庭やベランダで雨ざらし状態になっているものがないか、チェックする。不要な用具や容器は撤去し、バケツなどは使用しない時には伏せておく。その上で水やりが欠かせない植木鉢の受け皿などは、こまめにたまり水を捨ててください」 植木鉢の受け皿にたまった水の除去は多少手間がかかるし、いつ実施すればいいか判断しづらい。「少し時間的な余裕がある日曜日などに、植木の水やりとともに受け皿の手入れもするというように、習慣付けておけば実施しやすいのではないでしょうか。1週間にいちどの間隔でたまり水を取り除けば、たとえヒトスジシマカが産卵していても、成虫になる前に防除できます」(田邉参事) 園芸愛好家のマナーとして、毎週いちどの防虫対策を心掛けたいものだ。