老後の趣味にはいくら使える? 一生楽しめる趣味探しには助走期間も大切
現役時代、仕事一筋で「趣味らしい趣味なんか何もないよ」と言う人がよくいます。私の先輩にもそんな人がたくさんいました。そういう人たちが定年を迎えて「何か趣味でも始めようか」といって始めるのが定年後の3大趣味と言われる「陶芸」「油絵」「山歩き」です。 私はそういう趣味が悪いとは決して思いません。いずれもすてきな楽しい趣味だと思います。ところが多くの先輩たちは1年か2年ぐらいでほとんど挫折してしまっています。別にこの3つに限らず定年前後で新たに趣味を始めた人の多くがその後やめてしまったというケースが多いのです。どうしてなのでしょうか? 理由は2つあります。1つはそもそもそれが本当に自分のやりたいことだったのかどうかということ。そしてもう1つはお金がかかり過ぎてしまって結局続かなかった、という事情です。
なぜ趣味が続かないのか?
まず1つめの理由ですが、これはもっともな話です。だいたい趣味というものは5年とか10年とか、ある程度の年数を経て、初めて面白みがわかるものです。ゴルフでも最初のうちは下手に決まっています。だから練習するのもプレーするのも苦痛です。でも下手なプレーをして恥ずかしい思いをしたり、負けて口惜しい思いをしたりしていくうちに練習を続け、ある日突然ブレイクスルーポイントが現れるのです。 趣味というのはだいたい、この突然訪れる最初のブレイクスルーポイントを通過すれば面白くなってきます。自分に向いた趣味かどうかはたいがい、このポイントを通過することができるかどうかで決まります。定年前後に新しく趣味を始めた人の多くはこれ以前に挫折してしまうことが多いように思います。私自身も定年前後に始めながら、挫折してしまった趣味もあります(3大趣味ではありませんが)。 もう1つの理由、それがお金です。お金がかかり過ぎて結局続かなかったというケースです。そしてこういう理由で挫折するのは圧倒的に男性が多いように思います。よく言われる言葉に「女は好きなものでなくても安ければ買うが、男は好きなものであれば高くても買う」というのがあります。 これはかなり真実を言い当てているように思います。男性の場合、何か趣味を始めるとどうしても道具に凝りがちになります。しかも悪いことに定年直後というのは退職金などが入って懐具合が豊かになっていますから、気が大きくなりがちです。 お金と時間があれば、なんでもかんでも手を出してしまいがちになりますし、道具もつい次から次へと買ってしまいがちになる。そうこうしているうちに一方ではあまり上達しないので面白くないにも関わらずお金がどんどん出て行ってしまうので続かなくてやめてしまうということになるのでしょう。