アグレッシブなサッカーを貫いた国見 長崎総科大附を1-0で下し大会2連覇を達成
6月1日に開幕した令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)長崎予選もいよいよ決勝。参加48校の戦いを勝ち抜いてきたのは、22度目の優勝を狙う国見と、2年ぶり6度目の大会制覇を狙う長崎総科大附。6月7日、諫早市のトランスコスモススタジアム長埼で県内高校サッカー界、夏の王者の座をかけて2強が激突。互いに持ち味を前面に押し出す熱戦の末、国見が長崎総科大附を1-0で下し大会2連覇を達成した。 【フォトギャラリー】国見vs長崎総科大附 立ち上がりから長いボールを狙う長崎総科大附に対し、サイドを起点にボールを前に運ぶ国見。相手のプレスを少ないタッチのパスでかわしていく国見は、前半9分にスローインのボールを受けた切封海音が斜めのボールをゴール前に送り、西山蒔人がヘディングで合わせて先制に成功。リードを許した長崎総科大附も坂本錠に裏を狙わせて反撃を狙うが、国見は上野壮大・川原凛太郎の両CBがしっかりとカバー。GK松本優星の好守もあって失点を許さない。 後半から長崎総科大附は黒木秀彰を右サイドに投入し、右でプレーしていた松下昊稀を左に回してサイドの調整を図るが、山口大輝・切封のダブルボランチが安定感を見せる国見は門崎健一が起点となりゲームをコントロール。得点こそ動かないものの、互いに攻め合う展開で時計の針は進んでいく。 同点としたい長崎総科大附、決定的な2点目を決めたい国見。互いに相手ゴールまであと一歩と迫るがスコアは動かない。双方譲らぬ試合はそのまま1-0で試合を終了。最後まで長崎総科大附の攻撃に耐えつつもアグレッシブなサッカーを貫いた国見が、長崎総科大附を退け連覇を達成。1月の県新人戦に続くタイトルを獲得した。 「大げさかもしれないけれど、長埼のクラシコというくらい・・、それくらいの伝統を作りたいという気持ちで試合に挑んでいました。今日の試合でも危ないシーンはあったし、本当に強い相手なので、ライバルとして勝つことだけを考えていました」 試合後、国見の木藤健太監督は開口一番にそう語った。国見と長崎総科大附は2022年に亡くなった高校サッカー界の名伯楽、小嶺忠敏さんが率いた2チームである。国見の木藤監督、長崎総科大附の定方敏和監督にとって小嶺さんは恩師であり、コーチ陣も含めて両チームにはゆかりの人物だらけである。それだけにさまざまな思いも交錯した一戦ではあったろうが、両校とも亡き師に恥じぬ熱戦を見せてくれた。 敗れたとはいえ、長崎総科大附の走力、粘り、勝負へのこだわりは十分に感じられたし、GKマガリェンスアルナウド・CB角田碧斗ら守備陣は決勝以外の全ての試合を無失点で乗り切った。坂本・宇土尊琉・松下昊稀らアタッカーのスキルも高かった。敗れはしたが、胸を張って九州総体へ挑んでもらいたいものである。 勝った国見は西山・門崎の強力2トップを、山口・切封のダブルボランチが支え、見事なゲームコントロールを見せた。特に木藤監督が「大会中に最も成長した」と目を細めた切封の台頭は大きな収穫だろう。大会中に「去年より弱い(木藤監督)」と語っていた守備でもGK松本を中心に粘り強さを発揮した。 「彼らもここで満足はしないと思う」 そう木藤監督が語る選手たちが、今日の経験を糧に九州総体、そしてインターハイでどんな姿を見せてくれるか楽しみにするとしよう。 (文・写真=藤原裕久)