『若草物語』涼の強さと未熟さが浮き彫りに 回を重ねるごとに深みを増す堀田真由の表現力
時として周囲を困らせることもある“率直さ”こそが涼(堀田真由)の魅力でもある
ファッションコンクールの最終審査を控えた芽(畑芽育)は、「観客投票があるの。絶対来てよね」と涼に熱心に声をかける。その言葉に応え、涼は律、恵と共に会場へ向かう。だが、そこに恵の恋人・大河(渡辺大知)が加わったことで、空気は一変する。 男女のペアを見ては恋愛の文脈でしか解釈できない大河の態度に、涼は古い価値観だと反発を覚える。そんな中、恵のスマホに届いた上司からの仕事には不適切なセクハラメッセージ。それを見ても恵を心配せずに「がっかりだわ」と突き放す大河の言葉に、涼はついに堪忍袋の緒が切れる。大切な姉が心無い言葉を投げかけられ、黙って見過ごすことなどできなかったのだ。 時として周囲を困らせることもある涼の率直さだが、それこそが彼女の魅力でもある。素直で正義感が強く、大切な人を守ろうとする強い意志に満ちている涼。確かに言葉が過ぎることもあるが、それが時として凍りついた状況を動かすきっかけとなる。 第8話の涼の姿は真っ直ぐな生き方に強く共感する声がある一方で、率直すぎる物言いに戸惑いを覚える意見も少なくない。しかし、この賛否両論こそが涼という人物の本質を表していた。嘘がつけないほど真っ直ぐで、時に折れそうになりながらも、周りの“添え木”に支えられて強くなっていく。そんな彼女の姿を、私たちは危なっかしさを感じながらも、ついつい目で追ってしまうのだろう。 人は誰しも変化していく。その変化は、時に前を向いた成長となり、時には一見後ろ向きに見える選択となる。衿との再会で突きつけられた“変化”。それを涼は脚本家として、そして一人の姉として、どう受け止め、描ききることができるのか。その答えの中にこそ、途切れてしまった姉妹の絆を取り戻すヒントが隠されているのかもしれない。
すなくじら