換気したのに…床に残ったガスに引火か 広島市の爆発死亡事故 プロパン、低い場所にたまる性質
広島市安佐北区亀山南で18日朝、民家の一室を焼いた火災は、ガスファンヒーターを使っていた部屋で漏れたガスに引火、爆発したとみられ、住人の80代男性が死亡した。安佐北署によると、男性は亡くなる前に「異臭に気付き換気した」と話していたという。空気より重いプロパンガスが床付近に残り、爆発につながった可能性が指摘される。 【図解】ガス漏れによる爆発事故が起きた部屋のイメージ図 「父は注意深い人だったが、足元の臭いまで気付かなかったか」。男性の長女(59)は肩を落とす。民家には80代の両親が2人で暮らしていた。爆発があった2階の部屋(約13平方メートル)は男性がパソコンなどの趣味で使っていたという。 同署や関係者によると、男性の話では、ヒーターの点火スイッチを入れて30分ほどたって部屋に戻ると、壁のガス栓からホースが外れていた。ガス臭が充満していたため窓を開けて換気。ホースをつなぎ直して再びスイッチを入れると爆発したという。 窓は三方にあり、いずれも腰から上の位置にある。プロパンガスは空気の1・5~2倍の重さで低い所にたまる性質があるとされる。どの程度、換気したかは不明だが、男性は下半身に大やけどを負った。当初は意識があったが、搬送先の病院で息を引き取った。 経済産業省ガス安全室は「ガス臭を感じたら、すぐにガス事業者に連絡して」と強調する。ガス漏れが起きて換気する際は、窓や戸を大きく開けてほうきなどで掃き出し、扇風機など電化製品は決して使わないようくぎを刺す。民家で同様の爆発事故が起き、死者が出るケースは多くて年2、3件という。 事故があった亀山エリアでは広島ガス(南区)が拠点となる大型タンクを構え、地中管を通じて約1100戸にプロパンガスを供給している。広報室は「開栓時や法定点検の際にガス臭がした時の対応を各戸に説明している。今後も周知していく」としている。
中国新聞社