「プロ野球90年」教育評論家・尾木直樹さんが語る大谷翔平の魅力 「人間性もスケールがでっかい。全てが魅力的で規格外」
プロ野球の監督やコーチも経験と勘だけでなく、コーチング術やデータ活用などを積極的に導入してほしいですね。日本ハムで大谷選手を指導した栗山英樹監督は教育者としての視点で選手の能力や主体性を引き出し、イチローさんを教えたオリックスの仰木彬監督も個性を伸ばし、「人」を育てた。そうした指導者から世界的名手が育つのは事実が証明しています。 ▽モラル育む指導を 昨年はプロ野球の選手間でパワハラ事件がありましたが、当人だけの問題ではなく、野球界の暴力や暴言、いじめ体質の裾野は根を張って広いと感じます。いまだに体罰容認論もあり、暴力が悪いという自覚が薄いのは勝利至上主義といった取り巻く文化の問題があるでしょう。 指導者に教育者の視点があるかないかで違います。大事なのはモラルです。ずいぶん変わってはきましたが、日本のスポーツ界は体育会系特有の根性論や精神主義からは一刻も早く脱出してほしい。脱却するには教育が重要で、特に名門と言われる野球校ほど視野を広げてほしい。高野連あたりが研修会を行い、どの子にも充実感を持たせ、野球を楽しみ、自己肯定感を高める指導を広めることも有効でしょう。 ▽影響力への自覚を
スポーツは社会的な学び、ムードをつくる役割を担います。震災後にオリックスや楽天が優勝したように、プロ野球は地域や国の復興の支えやシンボルとなり団結力を生む、想像以上のパワーも持っています。子どもたちにとってプロ野球選手はスターであり、ヒーローであり、お手本です。その影響力をしっかり自覚してもらいたいですね。