浅野忠信×神木隆之介はナイスな“相棒”なれるか? 『刑事ゆがみ』
適当でだらしなく人と行動することを嫌う変わり者だが、犯罪者の心を読める刑事・弓神適当を浅野忠信、彼と組む上昇志向と正義感の塊のような若手刑事の羽生虎夫を神木隆之介が演じる連ドラ「刑事ゆがみ」(フジテレビ系)。井浦秀夫氏の同名コミックをベースにした刑事モノで、12日に初回「超適当偏屈自分勝手 非常識遅刻常習犯KY 問題児、だけど天才」が放送された。
神木、初の刑事役に挑戦
冒頭、暗めの画面に浮かび上がる2人それぞれのアップがシンボリックでカッコいい。とくに神木の大人びた表情、演技とカメラワークが相まって美しく撮れている。若くして男の色気もあり。25歳童貞という設定のようだが、その童貞感もにじませているからすごい。刑事役は初めてで、スーツ姿も就活生役などではあったものの、ちゃんと就職した役で着るのは初めてなのだとか。芸歴は長いのだが実にフレッシュで、惚れ直したファンも多いだろう。知り合いのかわいい男の子が成長して、初めてスーツを着た凛とした姿を見たときの、新鮮な感じに似ている。 もちろん、浅野が発散する大人の色気も負けていない。香水はつけてからの経過時間で香りが変わるそうだが、人間の色気もそれに似ているのではと思う。つけて5~30分ぐらいの間に香るトップノート。揮発性の高い香りが主に香る。30分後~2時間後に香るのがミドルノート。その香水の個性をもっとも表していると言われる。さらに、つけて3時間後ぐらいに香るのがラストノート。刑事モノが得意でないという人は、いっそのこと、あんちゃんの色気とオッサンの色気がぶつかり合うドラマとして観るのも一興では。
浅野×神木の掛け合いも自然 二人は「相棒」になれるか?
刑事が基本、2人1組で行動するということもあり、犯罪や事件を取り締まる2人組モノは、洋の東西を問わず昔からドラマの定番。うまく行けば「相棒」のような大成功を収めるが、浅野・神木のバディは人気者になり得るポテンシャル十分だ。存在感、演技力とも常に高い評価を受けてきた2人。掛け合いにもわざとらしさがなく自然だし、弓神と羽生の間を振り子のように揺れながら見入ってしまった。 そんなバディを盛り上げる共演陣にも、個性豊かな芝居巧者が揃っている。とくに、男勝りな女刑事役の稲森いずみ。弓神の尻にヒールで蹴りをぶち込むような、ドSで化粧っ気のない役柄だが、その化粧っ気のなさが逆に色っぽい。 1話完結で、毎回のゲスト出演も見どころ。第1話は痴漢事件をテーマにしているが、羽生の同級生の駅員役に杉咲花がゲスト出演。「とと姉ちゃん」の好演が思い浮かぶが、地味めなかわいさが物語のキーパーソンとしてもよく効いていた。 第2話は斎藤工と水野美紀が出演するというから、また観てしまいそうだ。 次も観たい度 ★★★★☆ (文・写真:志和浩司)