PERSONZ、結成40周年ライブツアーファイナル完走 オフィシャルレポート到着
中盤のMCでJILLはコロナ禍の時期を振り返り、「あんなことが起きた時に何を感じるか。私は皆さんがいないのが寂しかった。でも、昨年の『I AM THE BEST TOUR』でまた皆さんが戻ってきてくれて、ほぼソールド。またこんなに人が集まってくれた」とファンへの感謝を述べた。そして、今年の2月に大切な人を亡くしたと語り、「でも、悲しんでばかりいられない。そんな事は誰にでもあるし、これからも起こる。ただ、その人が確かにいた、戦ってきたという事。その人たちは心の中にいます。目を瞑って聴いてくれてもいい。皆さんの頭にも誰かが浮かぶと思います」と真摯な思いを伝え、新作から「DEAR YOU」を。力強いベースのリズムにエモーショナルなギターが絡み、徐々に熱量を増していく切ないミディアムバラード。JILLの振り絞るように力のこもったハイトーンが胸にしみる。 「こんな歌を聴かずに旅立つなんてね……。“歌”って、人に入っていく。何かがあった時に入ってくると人生も変わってしまう。PERSONZも皆んなの中にいたいと思います」というJILLの言葉を挟み、じっくり聴かせる曲をもう一曲。アルバムの流れと同じく「SING ALONG FOREVER~そばにいるよ」だ。ただ、切ない中にも温かみや優しさが寄り添っているのがPERSONZらしさ。ステージの照明も、緑の背景にスポットで濃いピンクやオレンジ色がポッと光っていて、まるで草原に小さな花が咲いたような可憐さだ。後半でJILLが 「ここからは皆さんが歌う番。歌うのは“今夜はずっと”だけです」 とリード。ギターのアルペジオをバックに、楽器チーム3人が観客と一緒にサビのフレーズ“今夜はずっと”と歌うと、そこに絡むようにJILLがフェイクで歌い、語りかける。観客のコーラスが入って完成するタイプの楽曲なのだが、リリースしたばかりの新曲とは思えないほどバンドとファンとの気持ちがひとつとなった歌がこの日は響いていた。 「Magic Moments」からは空気が一変。グラムロックmeets 80'sディスコといった風のビートに乗って、キラキラ黒いトンガリ帽と杖を手に魔法使い仕様になったJILLが登場、ワクワク感あふれる歌を唄いはじめる。リズムに合わせてステージを歩くJILLの後ろを本田が演奏しながらついて行ったかと思うと、渡邉もそこに混ざってステップしながら弾いたり。間奏では、JILLが杖でメンバーを指すとそのメンバーがひと回しソロを弾くなど、演奏も遊び心たっぷりだ。そして間奏が終わる瞬間、JILLの杖がパッと花束に変わるマジックまで披露し、会場を沸かせた。 「きれいな花が咲きました! 魔法にかかったかな? 一緒に歌うよ、ウィ アー ドリーマーズ!」 とJILLが叫び、「DREAMERS」がスタート。ズンズン力強くうねるベースと、華やかなギター、シンバルの効いたシャープなドラム。オーディエンスが唄うサビのメロディーに乗って、JILLは水を得た魚のように観客を煽る。つくづくライブで本領を発揮する曲だ。続いてこれまたライブで強い曲、「FUTURE STAR」。観客は拳を突き上げてリズムを取り、サビの“一度しかない 時を 駆けて”のフレーズでは人差し指で宙を指す。曲の終盤、ギターをかき鳴らす本田と膝をついたJILLが向かい合うシーンでは、これぞロックバンド!という王道のカッコ良さを見せつけた。 本編ラストは「I AM THE BEST !」。JILLが「I AM THE BEST!」と叫ぶのと同時に、あのキラーフレーズ、“B,B,B,EST, B,EST,GO!”というイントロが響き渡る。メンバー4人もオーディエンスも、そこにいる全員が手拍子をしながらテンションを上げていく感じが実に楽しい。膝でリズムを取りながら演奏する渡邉、ジャンプしたり回ったりと少年のような本田。この曲は2020年発表なので結成36年にして作られた楽曲なわけで、オリジナルメンバーで36年やっているバンドがこれほど自分たちが楽しめる曲を作れるというのも本当に希有なこと。“まだまだやれる”どころか、脂がのりまくっているのを音で証明してみせた。