地方創生の人材育成協力に向けて覚書を締結した国連大学学長のチリツィ・マルワラ国連事務次長（左）とパソナグループの南部靖之代表＝25日、東京都渋谷区（福田涼太郎撮影）

総合人材サービスのパソナグループと国連大学は25日、地域産業活性化や移住支援など地方創生を進める人材の育成に向け、協力を図ることで覚書（MOU）を締結した。国連大学が民間企業とMOUを結び、包括的パートナーシップを構築するのは初めて。同社は国連大学と連携し、将来的な大学院の設立を目指す。 今回の合意を受け、地域活性化や環境、人間社会に関する研究などを共同で進めるほか、人材育成プログラムの策定や教育活動でも連携していく。 国連大学は国際連合の中で、日本に本部を持つ唯一の機関。大学院としての機能を持ち、持続可能な開発や環境などの研究に力を注ぐ。一方、パソナは2020年に本社機能の一部を兵庫・淡路島に移転。現地で多くの事業を展開し、社会人口も増加するなど地域活性化につなげている。 学長のチリツィ・マルワラ国連事務次長は25日の署名式で「淡路島が地方の過疎問題の流れを見事に逆転させ、観光客の誘致、若い労働人材に移り住んで働いてもらうことに成功している」と指摘。多くの国が高齢化を迎える中、日本の対処法は「教訓となり得る」と連携の意義を語った。 パソナは将来的に大学院の設立を目指しており、カリキュラムの策定や教授陣らの派遣などで国連大学の協力を得たい考え。同社の南部靖之代表は「（国連大学がノウハウを持つ）AI技術を通して地方創生の課題にメスを入れていけたら」と期待を寄せた。