町田・黒田剛監督が昨季王者・神戸戦を前に「ミーティングで相当締めた」理由とは 13日に国立決戦
J1首位に立つ町田の黒田剛監督が11日、昨季王者と国立競技場で対戦する13日・神戸戦に向け、チームを締め直す行動に出た。町田市内で非公開での練習を終えた指揮官は「今日の練習はよかった。(練習前の)ミーティングで相当締めたから。昨日はリスタートの練習でちょっと厳しく言って。リアリティーを持っていない、空気感を持たずしてやっているトレーニングは一番嫌なので。それを作れない時は、昨日も相当でかい声で言及した」。神戸戦を想定した実戦に近い空気を作り出せていないことを指摘した。 一方、ただ声を荒らげて空気を引き締めただけではない。ミーティングでは、ピッチ上のプレーではない部分に話が及んだ。「キャリアとは何だ、という話をした。在籍期間や、試合に出た時間じゃない。海外に行った、オリンピック、W杯に出た、それもキャリアの一つかも知れない。でも、そこに一喜一憂したり、それをプライドとして人の話を聞けないのであれば、そんなキャリアはキャリアじゃない。人に求められた時間がキャリアにつながる、という話をした」。プロとしてチームに求められ、そのために必要なことを自覚し、実践していく。それが選手ひとりひとりのキャリア(歩んできた道)として、刻まれていくと説いた。 ミーティング後に行った練習に、選手達は目の色を変えて取り組んだ。「今日のトレーニングがしらっとしていれば、おれの落とし込みが悪かった、または(ミーティングを)やるべきではなかった、と自分自身が反省しなくちゃいけない。でも、今日は誰が見ても最高のいいトレーニングになった。よかったな、と」と、大一番に向けた準備の質に納得の表情を見せた。 「組織が壊れる時は、必ず大きい音がなる」と語る指揮官。それは選手が何かに不満を訴えたわめき声や、ポストやペットボトルを蹴り飛ばす音、学校で言えば窓ガラスが割れる音と様々だという。「その音に対して、指導者は敏感でなければならない」。現在、首位に立つチームから、音が聞こえたわけではない。ただ初のJ1で7試合を戦い、5勝1分け1敗の首位に立つ。自信が過信に、慣れが油断に変わることを未然に防ぐため、アンテナを張り巡らせている。 神戸戦はU―23日本代表のMF平河、FW藤尾が不在で、さらに前節退場したGK谷も出場停止。「ただ、去年は(エースの)エリキが負傷した次の試合で、山形に5―0で勝った。みんながベクトルを合わせ、危機感を持ち、不安を持ったからこそパワーが出せた。今が成長できるタイミングだし、チャンスなんだ、ととらえられるように。そして、みんながパワーを持って試合に集中できるマネジメントはしていきたい」。国立競技場をホームとして行うこの試合、ここまでチケットの売り上げは昨季7月9日の東京V戦(国立)で記録した、クラブ史上最多動員の3万8402人を超える勢い。町田の真価が問われる一戦に向け、ピッチ内外での準備は整いつつある。
報知新聞社