幽玄の舞 松本城薪能 天守を背景に野外舞台 長野県松本市
長野県松本市の国宝松本城の夏の風物詩「薪能」が8日、二の丸御殿跡の特設舞台であった。能の「経政(つねまさ)」と「紅葉狩(もみじがり)」、狂言の「呼声(よびごえ)」が上演され、野外舞台で天守を背景に幽玄の世界が繰り広げられた。 日没後にかがり火がともされ、舞台に鼓や笛の音色が響く中、能楽師が舞を始めた。このうち「紅葉狩」は、信州戸隠山に鹿狩りに出掛けた平維茂が美女たちに出会うことで物語が始まる。美女の正体は戸隠山の鬼女で、維茂が鬼女と戦い、切り伏せて去っていくまでの所作が力強い舞で披露された。 能は観世流と宝生流が毎年交代で演じており、今年は宝生流が担った。狂言は大蔵流が毎年演じている。松本市などでつくる城下町松本フェスタ組織委員会が主催し、43回を数える。帰省中に薪能を鑑賞したという大学2年生=松本市入山辺=は「松本城のインスタグラムを見て能に興味を持って来た。伝統芸能は難しい印象だったが、じっくりと鑑賞することで奥深さを感じることができた」と話していた。
市民タイムス