産経コラム問題 韓国の法制度で名誉棄損にあたるのか?
「最高尊厳」に対する冒涜
同じ事は、北朝鮮でもよくあります。北朝鮮では、「最高尊厳の冒涜(ぼうとく)」という言葉をよく使います。「金正恩第一書記、すなわち最高尊厳を冒涜する行為は許さない」として、韓国をはじめとする海外メディアを頻繁に攻撃しています。 予断になりますが、筆者が支局長を務めるデイリーNKも何度か北朝鮮の公式メディアから「我が最高尊厳(金正恩第一書記)を冒涜する人間のクズの集まり」などと口撃されています。 産経新聞がコラムのなかで「朴槿惠大統領とオトコ」とスキャンダラスに書いたことは、朴槿惠政権とその支持層からすれば、まさに「最高尊厳の冒涜」に値する行為だったわけです。さらに、韓国からすれば苦々しい論調の記事を発信する産経新聞が最高尊厳を冒涜したわけですから、積もり積もった憤怒が総爆発したのかもしれません。 今回の事件は、「名誉毀損」や「報道の自由」という構図で見られがちですが、現在の険悪な日韓関係を象徴する出来事ともいえます。それを踏まえたうえで、双方が徹底的に応戦するのか、それとも落としどころをみつけるのかが注目されます。 (高英起/デイリーNK東京支局長)