「お試し無料に素人が釣られ過ぎ」「特急かいじで済むのでは?」議論呼ぶ「中央線快速グリーン車」は本当にオトクか?検証してわかった「意外な結果」
特急「かいじ」の方が安い
中央線には特急「あずさ」「かいじ」が運行され、両列車ともリクライニングシートが並ぶ。在来線チケットレス特急券を使うと、新宿~八王子間は計1152円となり、中央線快速グリーン車よりも90円安く、それほど変わらない。新宿~大月間は「かいじ」に限り、チケットレス特急券35%オフが適用されることもあり、料金は計2002円。中央線快速グリーン車よりも340円安い。 ただし、新宿~大月の「かいじ」で利用可能なチケットレス特急券35%オフは席に限りがある。単なるチケットレス特急券なら、中央線快速グリーン車とそれほど値段は変わらない。 中央線グリーン車と特急を比較した場合、2つのメリットがあるように思う。 一つ目は朝ラッシュ時の新宿方面でもリクライニングシートを利用できる点だ。八王子駅発新宿方面では平日7時台において特急列車の設定はない。一方、八王子駅始発の快速は4本もある。朝7時台に八王子駅からゆったりとリクライニングシート通勤も夢ではない。 二つ目は特急通過駅の利用者もグリーン車に乗れることだ。特急は大月駅、八王子駅、立川駅、新宿駅しか停車しない。主要駅間、遠距離は特急、中短距離は中央線快速といったところだろうか。
京王ライナーの強みは?
ところで、中央線快速とライバル関係にあるのが京王だ。京王は京王八王子~新宿間と橋本~新宿間に座席指定列車「京王ライナー」を運行する。追加料金は410円。新宿~京王八王子間だと合計819円となる。 一方、座席はクロスシートだが、リクライニングはしない。平日の運行時間帯は新宿行きが朝ラッシュ時、京王八王子行きが夕ラッシュ時~夜間だ。 京王ライナーは列車本数や車内設備の点から、中央線快速グリーン車に太刀打ちできないように思うだろう。しかし、中央線快速のグリーン車は座席指定ではなく、自由席なのだ。つまり、グリーン券を購入しても座れない場合がある。 その点、京王ライナーは「座席指定」なので、追加料金を支払えば確実に座れる。つまり、本数の中央線快速のグリーン車、座席指定の京王ライナーといった感じだ。 ちなみに京王はこのタイミングで、11月1日~29日の平日、オフピーク時間帯に限るが、京王ライナーの座席指定料金の割引を発表した。通常の追加料金の110円引きとなる300円で乗ることができる。こうしたキャンペーンも、ライバルである中央線快速を意識したものだろう。 いずれにせよ、2025年春まで、普通運賃で中央線快速のグリーン車を利用できる。機会があれば、試されてはいかがだろうか。
新田 浩之(フリーライター)