東京・池袋「魔の交差点」が環境改善へ 事故件数全国ワースト1…六差路で3層、橋脚林立
ラウンドアバウト
警察庁の統計によると、昨年全国で発生した交通事故件数は約30万7千件。平成25年の約62万9千件から半減している。インフラ整備や取り締まり推進が背景にあるが、交差点での事故防止は依然として課題だ。
安全性を高めるため、信号機を設置せず車を一方通行の時計回りに周回させる「ラウンドアバウト」と呼ばれる環状型の交差点の導入も進められている。車の動線が単純化され、進入時に必然的に速度を落とすことになるため、事故の減少などにつながる。ただ、複雑な交差点では運用が難しく、国交省によると、国道や都道府県道など幹線道路の交差点への導入は1割程度にとどまる。
抜本的対策が模索される中、中島氏は「交差点では、まずドライバーが車間距離を空ける意識を持つべき。道路管理者は車線を色分けして示すなど、どこを走ればいいのかを分かりやすくする工夫が必要だ」と話した。
■事故多発の交差点 3大都市に集中
日本損害保険協会のマップをみると、交通事故が多発している交差点は東京、大阪、名古屋の3大都市に集中している。
池袋六ツ又交差点と並んで事故件数が全国最多の19件だったのが、2本の幹線道路が交わる大阪市住吉区の「長居交差点」だ。1日計約4万人が利用するJRと大阪メトロの長居駅が近くにあり、人通りが多いこともリスクを高めている。
交差点内にある地下鉄の出入り口がドライバーの視界を妨げ、車が歩行者と接触する事故が多い。交差点近くにあるバス停やタクシー乗り場も、車線変更時の事故を誘発しているという。
大阪市には、ワースト3位の「谷町9丁目交差点」(天王寺区、事故件数16件)と同4位の「谷町4丁目交差点」(中央区、同15件)もある。
5位は東京、大阪、名古屋の7つの交差点。その一つで、名古屋市緑区の「折戸交差点」(同14件)は、高速道路と併走する国道が市道と交わっている。高速道路を走行する車両に引っ張られて速度を上げがちの車による追突事故が目立ち、死者も出ている。(宮崎秀太)