東京・池袋「魔の交差点」が環境改善へ 事故件数全国ワースト1…六差路で3層、橋脚林立
東京・池袋にある4本の道路が立体的に入り組んだ交差点で交通事故が多発している。土地勘のない不慣れなドライバーが事故を起こしやすく、昨年は事故件数が全国ワースト1となり、警察や国土交通省が道路環境の改善に乗り出した。全国の交通事故件数が減少傾向にあるなか、危険度の高い交差点は都市部に集中しており、安全性を高める対策が急務だ。 【写真】多くの車両が行き交う「池袋六ツ又交差点」 ■3層構造 事故が多発しているのは、JR池袋駅近くにある「池袋六ツ又交差点」。日本損害保険協会が9月にまとめた「全国事故多発交差点マップ」によると、昨年1年間に発生した事故は全国最多タイの計19件に上った。 「日本一危険な交差点」「魔の交差点」などの異名を持つこの交差点は3層に分かれる立体構造。最下層は、国道と2つの都道、区道の4路線が6方向から交わる「六差路」になっている。陸橋の2層目は、国道と都道が合流・分岐する「三差路」交差点。3層目には、首都高速道路が走り、交差点内には高架を支える5本の橋脚が林立している。 ■六差路→五差路 警視庁池袋署によると、昨年の事故19件全てが、同署の管外や都外から訪れたドライバーによるものだった。交差点をよく通るという50代の女性ドライバーは「道を知らないと信号が分かりづらい。初めて利用する人には難しい」と話した。 池袋署が事故原因を分析したところ、最下層の六差路は「(高架によって)日中も薄暗く、橋脚も多いため、車も曲がる先や横断歩道が見えにくい」ことが分かった。署は交差点付近の交通違反の取り締まりを強化し、ドライバーへの注意喚起を徹底している。陸橋上の三差路では、信号の見落としによる事故が多いため、標識の設置などにも着手するという。 ドライバーの安全意識を向上させるソフト面の対策は不可欠だが、ハード面の事故を誘発しやすい構造の改良も課題だ。事故原因を調査する交通事故鑑定人の中島博史氏は池袋六ツ又交差点の構造を「道路が直線的に交差しておらず、車の動きが不規則になりやすい」と指摘する。 国交省東京国道事務所は、最下層の六差路に合流・分岐している区道を廃止し、五差路とする改良計画に着手している。