F1新規参戦アウディ、ドライバー起用条件は“忠誠心”? 長期的なコミットメント求める。ボッタスにチャンス到来か
2026年からアウディのワークスチームになることが決まっているザウバーは、2025年のドライバーとして既にニコ・ヒュルケンベルグの起用を発表しているが、チームメイトとなるもうひとりのドライバーは未発表の状態となっている。 【リザルト】F1イギリスGP FP2結果 アウディはドライバーに長期的なコミットメントを要求しており、この起用条件がバルテリ・ボッタスにチーム残留の道を開くかもしれない。 既に2025年シーズンに向けて各チームのシートは埋まりつつある。現状空きシートが残されているのは実質的に下位チームのみだが、長期的なコミットメントを求めるチームと、契約の重要性を求めるドライバーとで折り合いがついていない。 依然2025年ドライバー市場の中心人物となっているのが、今季限りでフェラーリを離れることが決定しているカルロス・サインツJr.だ。当初はザウバー/アウディ、ウイリアムズの間で決断が揺れていると言われていたが、フラビオ・ブリアトーレがアドバイザーとして加わったアルピーヌが土壇場で獲得競争に加わり、状況が複雑になった。 サインツJr.同様、ドライバー市場にいるのはアルピーヌ放出が決まっているエステバン・オコン。こちらもザウバー/アウティやウイリアムズ、そしてハースの残り1席を狙っている。その他、現在ザウバーに所属するボッタスや周冠宇も、サインツJr.の決断次第ではシートを掴む可能性があると指摘されている。 サインツJr.の決断を遅らせている要因は、ザウバー/アウティ、ウイリアムズ、アルピーヌのいずれも、現在所属するフェラーリのように優勝を争える立場にいないということ、そして2026年レギュレーションでどのチームが抜きん出るかが明確になった時点で移籍が可能な柔軟性を残しておきたいという2点が考えられる。 しかしこの3チームはいずれも、チーム状況を好転させるために忠誠心と長期的なコミットメントをドライバーに求めており、長期契約を望むドライバーはサインツJr.以上に魅力的な存在になり始めている。 アウディにとって、安定したドライバーラインアップは特に重要。新規参戦を行なう2026年シーズン開始時にワークスパワーユニット(PU)を投入しても、ライバルに劣る可能性があるため、ヒュルケンベルグと並んで忍耐強い考え方を持つドライバーが必要になるのだ。 「もし誰にとっても簡単な状況であれば、2月の時点でドライバー市場は終わっていただろう」 そう語るのはザウバーでチーム代表を務めるアレッサンドロ・アルンニ・ブラビだ。 「ドライバーの立場からすれば、誰もが2026年に何が起こるかを見極めたいと思っているだろうし、チームも長期的な安定性を確保してドライバーを変えたくないと思っている」 「我々は、2025年をアウディのワークスファクトリーチームのドライバーラインアップでスタートしたいと常々言ってきた。1年後に変更したくないので、我々にとっては重要なことだ」 「我々は自分たちが何者で、どこにいたいのか、そしてこの目標を達成するために何をしているのかを明確にした。もちろん、共に歩む旅がある」 「特に初期の浮き沈みを含め、我々は喜んでこの旅へ出る必要がある。しかしアウディが2026年のF1に与える影響を過小評価する人はいないはずだ」 ボッタスのように、できるだけ早く長期的な未来を確定させたいと考えているドライバーにとっては、たとえ候補リストの一番上に名前が載っていなくても、利害関係からザウバー/アウディや他チームでのシートを確保できる可能性はある。 「そう願っている」とボッタスは言う。 「これからの数年間、明確な目標が欲しいし、自分もその一員となって、一緒に働けるようなプロジェクトを求めている」 「僕はコミットする準備ができているし、優先順位も整理できている。それが僕の立場を強めてくれるといいね」
Filip Cleeren