“外国資本”に「喰い荒らされる」ニセコ…巻き返しを狙う日本勢の「一発逆転」の“秘策”
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第17回 『「ジャック・マー」から「レッドブル創業者」まで…「世界の億万長者」がニセコに集まる理由』より続く
日本勢も動き出した
こうした状況下、日本勢も遅まきながら、動き始めている。ひらふ地区では、大和ハウス工業が2020年10月から別荘地を売り出した。新日本海フェリーのグループ会社は、高級旅館「楽水山」を2020年12月に開業した。「楽水山」は平屋建てで客室は18室。全客室から羊蹄山が眺望でき、温泉露天風呂付きであり、スキーシーズンは1人1泊2食付きで11万円からという。 また、京都貿易コンサルティングは、2020年8月に戸建てタイプのコンドミニアム「グレースニセコ」を開業している。内装は京友禅の着物をインテリアとして飾るなど、京都スタイルの和モダンな部屋を提供しており、メイン棟ではバーの営業も行っている。
伸び続ける住宅需要
日本企業の開発は別荘やコンドミニアムだけではない。ニセコで開発が進むこれら宿泊施設の工事関係者や従業員に加え、北海道新幹線延伸に向けたトンネル工事関係者などの住居需要も旺盛であり、家族向けも含め、賃貸住宅や賃貸アパートの建設も行われている。 札幌に本社がある不動産会社のレックは、俱知安町で3階建ての賃貸住宅の募集を開始した。分譲マンションクラスの高設備仕様の全戸2LDK(46・66㎡)の12戸で、管理費、除雪費、駐車場代が込みで月額8・9万円からとなっている。その後も別棟の建設を進め、合計4棟の賃貸住宅を建設する予定だ。 ニセコの中心を占める俱知安町における2020年1月~7月の建築確認申請件数は102件と、前年同期とまったく同じ件数だった。コロナ禍下でもニセコの勢いが止まっていない何よりの証だ。 『街中に「ポルシェ」や「ランボルギーニ」…世界中の富豪を射止めたニセコが示す「驚きのデータ」』へ続く
高橋 克英(金融アナリスト)