「降りろバカヤロー」停車中に中国人男性2人に囲まれてパニック急発進。殺人未遂に問われた被告人の真相
Bさんをボンネットに乗り上げて176メートル走行
そしてBさんは、Aの車を発進させまいとフロント部分に移動。青信号に変わり、AはBさんを避けながら発進しようと、左にハンドルを切った。だが、Bさんは瞬時に左側へ移動。そこで、Aは右にハンドルを切ったところ、突然制止しようと中央分離帯から飛び出してきたCさんに衝突したのだ。 Cさんに衝突した直後、Bさんにも衝突。Bさんがボンネット上にうつ伏せの状態で身を乗り上げたまま、176メートルも走行したところで、転落。この時、最大で時速約64kmものスピードだったという。そのまま、Aの車は走り去っていった。 これよって、Bさんは右ひざを骨折するなどの全治2か月の重傷。Cさんも、左ひざを打撲するなど全治1週間の傷を負った。検察側は、AがBさんに対して殺意をもって車を発進させたとする殺人未遂と、Cさんに対する傷害罪で起訴。 しかし、Aは起訴内容の一部を否認。弁護側も、Aは交通トラブルになっていたことに気づかず、Bさんらは事件当時「降りろ」など威迫してきたことから、被告人が「ヤクザ」などと勘違いし自身を防衛しようしたところ、誤って過剰な防衛行為をしてしまった「誤想過剰防衛」で減刑を主張した。 一方で、検察側は冒頭陳述で、Bさんらは「Aを威迫するほどの大声を発してはいない」と述べた。
ドライブレコーダーには被害者の怒号も…
だが、筆者は被害者のどちらかが大声で「降りろ、バカヤロー」と言っていたのをはっきりと耳にした。 それは、初公判での証拠調べの時だ。証拠として、中央車線に停まっていたタクシーのドライブレコーダー映像が提出され、法廷内の大型モニターに映し出された。 そのドラレコ映像には、右車線に赤信号で停まっているAの車と、その後ろに続いてBさんとCさんの車が停車。停車してすぐ、BさんがAの車の運転席側にまわってドアをガチャガチャ、「降りろ、バカヤロー」という声が聞こえた。数秒後、Cさんも運転席側にまわってドアノブを引いていた。 なお、ドラレコ映像の最後には、Bさんをボンネットに乗せたAの車が逃げ去る様子も。タクシーの車内から「なにアイツ、気狂ってんの」という男の声が聞こえ、まさに映画のワンシーンのようだった。