トヨタ育成の後藤正太郎、松下拓未がフィンランド・ラリー選手権で好走。ヒルボネン指導の下、着実に成長中
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの3期生である後藤正太郎と松下拓未が、8月23~24日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第6戦『フューチャーSMラリー』に参戦。ヨーロッパでの3戦目となったこのラリーで、両名はともに安定したスピードを見せ、松下/ペッカ・ケランダー組がSM3クラス5位、後藤/ユッシ・リンドベリ組が僅差の同クラス6位で完走を果たした。 【写真】SMクラス6位で完走を果たした後藤正太郎(ルノー・クリオ・ラリー4) 首都ヘルシンキの北東100kmに位置するラハティを拠点に開催されるフューチャーSMラリーは、シリーズの中でも人気イベントのひとつだ。FIAヨーロッパ・ヒストリック・ラリー選手権の一戦にもなっており、TGR-WRTのチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラも、本人の所有するセリカGT‐FOURでヒストリック部門に参戦しファンを魅了した。 2日間にわたったラリーは、金曜に行われる3つのSSと土曜に実施される6つを合わせた計9つのSS、都合70.94kmで構成され、フィンランドの晩夏の気候のなか、基本的にドライコンディションでの走行に。TGR WRCチャレンジプログラム3期生のふたりにとって今回のラリーでの目的は、一貫したペースで走行できるようになることだった。 金曜日は、グラベル(未舗装路)ステージの路面の特性から、先に走行していたヒストリック車両によってできた轍などによるグリップへの影響をより受ける難しいものとなった。しかし、両選手ともに序盤から良いペースで僅差の走りを展開。コーナリングのテクニックを習得した松下はスピードと自信を掴み、同日の最終ステージではクラス5番手の好タイムをマークした。松下が初日をSM3クラス7番手で終えると、後藤もわずか2.4秒差のクラス8番手で続き、1日目を終了している。 松下は土曜日も好調を維持し、前戦の『HYAセンター・ラリー』より競争の激しい今回のラリーをクラス5位で走破した。また、このイベント前にペースノートの改善を行った後藤も競争力あるパフォーマンスを見せ、松下とわずか1.4秒差のクラス6位でラリーを終え、両選手ともに着実に成長を遂げたことを感じさせる結果となった。 「ふたりとも、とても良いラリーをしてくれた」と語ったチーフインストラクターのミッコ・ヒルボネンは今回のラリーを次のように振り返る。 「彼らが何も問題やトラブルなく完走してくれて非常に嬉しく思っている。今回のチャレンジングな道から多くのことを学び、経験することができた。彼らのペースは非常に良く、クラスのトップに対して1kmあたりわずか0.6秒ほどの差だった」 ヒルボネンによれば、3期生のふたりは次のターマック(舗装路)イベントに向け、フィンランドとイタリアで事前テストをする予定とのことだ。 ■ブレーキの意識とWRCのレッキ後の改善/ドライバーコメント全文 ●後藤正太郎(SM3クラス6位/ルノー・クリオ・ラリー4) 「今シーズン一番進歩できたイベントだったと思います。前回のタンペレ(で開催されたHYAセンター・ラリー)では、トップ勢に対しても松下さんに対しても充分な速さを感じることができませんでしたが、今回はだいぶ良くなったと感じました」 「その理由はいろいろありますが、一番はペースノートです。ラリー・フィンランドのレッキをした後、自分のノートに関して講師のミッコ(・ヒルボネン)さんとたくさん会話を重ねた結果、いくつか改善を試み、それがうまく働きました」 「車両にも少し変更を加え、オーバーステアが少なくなるようにしました。前回はリヤが少しスナップしているように感じましたが、今回はクルマに対してより自信が持てました。次戦のターマックでのラリーはまた全然違うものになると思うので、次のイタリアがとても楽しみです」 ●松下拓未(SM3クラス5位/ルノー・クリオ・ラリー4) 「全体的にはとても満足です。今回はとても高速ななかに、非常にテクニカルな低速コーナーもあるようなステージが多かったですが、自分の運転に対してとても良い進歩ができたと感じています」 「ひとつ変えたことは、コーナー進入時のブレーキを遅らせないように心がけたことです。それまでは、進入時に少しスライドしていて、コーナー中盤のスピードをかなり失っていたと感じたからです。この修正と、ブレーキバランスも少し調整したことで間違いなく速くなったと思います」 「このラリーのステージはとても良いステージでしたが金曜日、ヒストリック車両が走行した後はグリップがトリッキーで路面はあまり良い状態ではありませんでした。ですが土曜日はとても良かったです」 後藤と松下の次戦は、9月13~14日にイタリアで開催されるターマックラリー『ラリー1000ミリア』だ。北イタリアのガルダ湖の西で開催されるこのラリーは、バラエティに富むチャレンジングな舗装路で競われる。同ラリーにはWRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀も参戦予定だ。 [オートスポーツweb 2024年08月29日]