東ガス社長、資産効率低い不動産などは見直し-売却含め対応検討
(ブルームバーグ): 東京ガスの笹山晋一社長は28日、自社の事業について不動産に限らず資産効率の低いものについては見直しを行い、必要であれば売却を含め対応していく考えを示した。同社は不動産事業で巨額の含み益を抱えており、大株主となったアクティビスト(物言う株主)の米ファンドは売却などの対応を求める考えだ。
笹山社長は都内で開いた会見で、資産効率の悪い不動産などについては「必要に応じて売却するということはあり得る」としたが、具体的な物件については事業上差し障りがあるとしてコメントを控えた。同社は東京・豊洲エリアに広大な土地を所有するほか新宿パークタワーなどを保有している。
東京証券取引所の要請を受け上場企業が資本効率改善の取り組みを強化する中、日本企業が抱える25兆円に上るとされる不動産の含み益への関心が高まっている。多数の不動産を抱える東ガスを巡ってもアクティビストのエリオット・インベストメント・マネジメントが5.03%の株式を取得したことが明らかになっており、関係者によると不動産の売却や収益化により資本効率と株主還元の改善を求めていく考えだ。
笹山社長は「特定の株主の意見がどうこうということではなく」さまざまな投資家や株主からの意見を踏まえ、これまで以上に資産効率を上げていく必要があると考えていると説明した。
笹山社長によると、東ガスはこれまで「安定配当と緩やかな増配」を掲げつつ実質的には累進配当を行ってきた。今後は「累進配当という考え方を明示」した上で、自己株式取得による流通株式数の減少も踏まえつつ増配の実現に向けて検討を行っていく考えを示した。
また、自己資本利益率(ROE)については中期経営計画で掲げる目標の8%では「十分ではないという問題意識を持っているので、早期にこの数字を達成し、さらに上を目指していきたい」と述べた。
同日の東ガスの株価は反発し、午前中に一時前日比3.5%高の4526円を付けた。午後はやや値を下げていたが笹山氏のコメントが伝わると再び上げ幅を拡大する場面もあった。
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Tsuyoshi Inajima