ノアのモハメドヨネらが「お寺でプロレス 宗蓮寺」で住職や子どもたち巻き込んで「善知識」
プロレスリング・ノアのモハメドヨネ(48)らが25日、岡山市北区の宗蓮寺で入場無料のイベント「お寺でプロレス 宗蓮寺×プロレスリング・ノア」を開催した。 【写真】お寺からリングへ入場する齋藤彰俊 日蓮宗の寺院である宗蓮寺は、ソフトボール、バスケットボール、空手、和太鼓などの子ども会活動が有名で、2013年には青少幼年の育成に尽力した功績で正力松太郎賞を受賞している。第21世住職の垣本良明氏(53)は大の格闘技ファン。初代タイガーマスクに影響を受け、自らも格闘技に打ち込み、現在も法務の傍ら、子どもたちに空手を指導している。 子どもたちと向き合う中で、住職は子どもたちが思い切り身体を動かし、大きな声を出し、力いっぱい笑うことができてないことに気づいた。「コロナ禍の影響ですかね。子どもたちはまだ日常を取り戻せていないのだと思います」住職が思いついたのは、かつて自分が引き込まれた非日常の空間を、子どもたちに体験してもらうことだった。 そんな思いに、旧知のモハメドヨネが応えた。「プロレスをテレビで見たことのある子どもたちだって減っているのですから、生で観たことのある子どもたちはもっと少ない。そういう子どもたちにプロレスのすごさや楽しさを伝えていかないと、プロレスの灯が消えてしまう」ヨネは団体を動かし「お寺でプロレス」が実現した。 通常の興行と異なり、前半は子どもたちがレスラーたちと触れ合う時間が設けられた。子どもたちが束になってレスラーに挑む。空手の子どもたちは、世界ヘビー級王者の齋藤彰俊に日頃の成果を思い切りぶつける。厚い胸板にミドルキックを打ち込み、数発目には蹴っている子どもたちが足を痛がる。そんな姿に笑い声と、仲間を応援する声が境内に響いた。 子どもたちが勇壮に打ち鳴らす和太鼓の響きで、後半戦のプロレスが幕を開けた。試合は小峠篤司ら14選手によって3試合が行われ、境内が熱を帯びていった。「こういう時はブーイングするんじゃあ!」YO―HEY、タダスケのGHCジュニアヘビー級タッグ王者チームがあおり立て、子どもたちはプロレスの楽しみ方を身につけていく。メインイベントはヨネ、齋藤組VS潮崎豪、ガメラス(道頓堀プロレス)組のド迫力の肉弾戦。暴れまくるガメラスが会場人気を集める一幕もあったが、最後はヨネが渾身のキン肉バスターで大怪獣をマットに沈めた。非日常の空間となった境内は夏祭り以上の盛り上がりだったかもしれない。 垣本住職は「子どもたちには岡山の、日本の将来を託せる人間に成長してほしいですね」と話し、「この子たちとまた会場で会いたいですね。そして大人になってからもずっと、プロレスを応援してほしいですね」とヨネ。スタッフのTシャツには「善知識」の3文字。仏教用語で「善良なる縁やきっかけ、人や書物との出会い、出来事」を意味するという。「お寺でプロレス」は、子どもたちにもレスラーにとっても「善知識」となったようだ。
報知新聞社