【激レア映像】開業60周年迎えた東海道新幹線の最重要施設「JR東海浜松工場」を特別取材(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
2024年で開業60周年を迎えた東海道新幹線。その最重要施設が静岡にあります。今回、その内部を特別に取材させていただくと、そこには普段、絶対に見ることができない新幹線の姿がありました。 (神奈川県から) 「ドクターイエローを見に!乗りに!!きました」 Q.実際に見てどう? 「やばいです」 ここは、浜松市にある「JR東海浜松工場」。年に一度の一般公開ツアーとあって、チケットは発売からわずか3日で売り切れる人気ぶり。それもそのはず、今回は、先日引退が発表されたドクターイエロー2編成が両方とも見られるとあって来場者は大興奮。 (浜松から) Q.何しにきた? 「新幹線、見に来た」「かっこいいかったり、スピードがはやかったり」 (東京から) 「ドクターイエローと、新幹線の工場が一緒に見られるってことで、貴重な機会かなと思って見に来ました」 東海道新幹線は2024年で開業60周年ですが、これまで乗客が死亡する事故は一度も起きていません。この世界トップレベルの安全輸送に欠かせない日本唯一の工場、それが、浜松工場なのです。今回、特別に一般公開でも見ることができない浜松工場の知られざる驚きの姿を取材!そこには、分解された新幹線や、新品同様に生まれ変わる最新技術がありました。 JR東海・浜松工場は、浜松駅の西 2キロにあり、東京ドーム7個分の広さがあります。ここにつながる線路には新幹線では唯一の踏切も。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「こんにちは」 今回、工場内を案内してくれるのは沼津市出身の佐戸井さん。ところで、浜松工場では何をしているんでしょうか? (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「東海道新幹線の全般検査を行っている工場です(JP)いわゆる車検のようなものです 一編成14日間で行っています 1年間で約50編成の検査を行っている」 浜松工場は新幹線の検査場。1編成1日1600キロも走るため、日常的にさまざまな検査を行っていますが、3年4か月、または160万キロを走行するまでに、部品レベルまで分解して検査・修繕する、最も大掛かりな「全般検査」が行われますが、それを浜松工場がすべて担っているのです。 早速、工場内に入ると、扉の先には新幹線の顔、先頭の出っ張りがない新幹線が。これは? (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「ここは検査の準備をしていて、普段は車体に機器を取り付けたまま検査をしている機器に対して、データを確認して基準値を超過しているものは取り外し修繕する」 160万キロも走った車体は汚れも目立ちます。こちらは外された先頭部分。この細かい傷も修復の対象です。そして、大規模な修繕を前に、これまで走行中も停車中も供給され続けてきた電気が止められます。車内の照明も使えないため、窓から差し込む光のみでふだんよりだいぶ暗く感じます。いつもは常に16両が一緒につながっていましたが、その連結も解除され、1両ずつバラバラにされます。 牽引車によって検査場へ運ばれ、いよいよ本格的な検査の開始です。ここは前作業場と呼ばれる工程。車内ではなにやら座席シートの点検をしているようです。すると、シートが外されました。なんと、車内の部品もすべて外して点検が行われるのです。シートがなくなり、いつもより広々感じる車内。これはかなりレアな映像です。座席だけではありません。窓枠部分も手作業で次々と手際よく外されていきます。車体に張られていたマークまではがされていきます。こんなチャンスはないと、屋根の上にも登らせてもらうと…白いボディーのはずが、汚れて真っ茶色に変色しているようです。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) Q.すごい茶色になっていますね 「普段屋根上は洗浄しないため、2年分の汚れが蓄積している 。少し色が違う部分は屋根上を点検する際のすべり止め」 この汚れこそ、160万キロ、地球を40周分も走った証なのです。細かい部品が取り外されると、次はいよいよ車両の解体へ。すると車体が宙に浮かびました。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「解体場と呼ばれる場所で、車体と台車、部品を取り外して解体する場所、それぞれ分解して細部に渡って検査する」 車輪がある台車が取り外され、床下の部品も一つ一つ手作業で取り外されます。ところで、これらの作業、秒単位のダイヤで正確に運行する新幹線らしく、各工程で細かく作業時間が決められていて、こちらの解体場の制限時間は「105分」。車体を上げて車輪を取り外し、必要な部品を外して次の工程に送るまでを、絶対に105分で完了させなければなりません。そこまで時間にシビアな理由の一つが、この「トラバーサ」という機械にあるといいます。この機械は、新幹線を、普段、決して動くことのない横方向に移動させるもの。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「動く時間が決まっているので、そこまでに終わらせるようにしている」 台車を格納したトラバーサを追っていくと…。そこには回転する車輪が…。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「こちらは台車を解体し検査修繕するところ」「一台車あたり4日間かけて検査する」「車輪を削ることで遷延にして、乗り心地を良くしていく」 最高時速285キロで走る新幹線。車輪は1編成当たり128か所ついていますが、傷や車輪ごとの摩耗の違いで乗り心地にも影響が出るのです。約125回転させる間に12ミリ削ると、車輪はピカピカに。さらに、車軸と車輪の分解までも行われます。 走行中に絶対に外れてはならない車輪。固定の強さが音からもわかります。検査を終えた車軸は新幹線への取り付け待ち。まさに、ここは車軸の要塞です。続いて洗浄そこには見たこともない特殊なブラシが。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「研磨と塗装はロボットで、それ以外の作業(洗浄など)は人の手で行っています」 先頭車両用に開発された研磨機で汚れを落として、きれいな状態に変身させます。洗浄したあとは、なんと、塗装までし直すといいます。それも全自動。トレードマークのブルーのラインも入れられまるで新車のようです。あの真っ茶色だった屋根の上も見違えるような白さ。そして見えなかった車両番号も。車両の中に入ると、座席には、まだカバーがかけられていて、納品間近の商品のようです。細かいところまで検査や修繕を14日間かけて行い、ついに最終チェック。 ボルトに緩みはないか人の耳で確認していきます。検査に合格すると車体にその証が記されます。16両が連結され、見慣れた新幹線の姿に戻りました。すると。行先表示板に「試運転」の文字が。工場での検査を終えた新幹線は、浜松工場から名古屋駅間を往復する試運転を行うのです。この試運転で問題なければ、再びたくさんのお客さんを乗せて走ることができるのです。ここまで14日間。新幹線が安全運行のために、とことんこだわっているのがよくわかります。そして、午後5時20分、検査を終えた新幹線はついに旅立ちの時です。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「長い時間をかけて工場全体協力して検査してきたので、何事もなく出ていくのは感慨深い。また元気な状態で戻ってきてほしい」 踏切が閉まると、ゲートがオープン。写真に収めようと鉄道ファンも訪れる中、検査を終えた新幹線が浜松工場を旅立っていきます。私たちが乗車する機会もあるかもしれません。 (JR東海 浜松工場 佐戸井 優希さん) 「静岡は東海道新幹線にはなくてはならない場所。県民の皆さんにも、東海道新幹線唯一の工場が静岡にあるということを誇りに思っていただければと思う」「これから先も70年、100年と、愛され続けるように浜松工場一丸となって尽力していく」