初の42.195キロ 魅力度ランキング42位の徳島で気づいた、マラソンの〝新たな可能性〟
観光業〝おとなしい〟徳島
黙々と歩いたり走ったりしていると、ついにゴールがある陸上競技場へ。最後は「あれ、まだ私走れるじゃん」くらいの猛ダッシュでトラックを駆け抜け(たように自分には感じ)、ゴールした。 今回、後悔することがあるとすれば、私のタイムが悪かったせいで、そば米雑炊と阿波ういろうを食べられなかったことだ。 にしても今回のエイドのフード選びが憎い! 私の大好きな徳島の食べ物尽くしではないか! これなら他県から来た人に徳島の魅力が伝わったはず。 振り返ると、スタート時点では阿波踊り以来の密度になっており、こんなにマラソン人口がいるんだなあと驚いた。 阿波踊りの時期には100万人超が訪れる徳島だが、裏を返すと、それ以外の時期は、観光業として〝おとなしい〟のが実情だ。 徳島に移住し、日々、東京にはない徳島のよさを味わっている身からすると、阿波踊り以外の時期も足を伸ばしてほしいと感じていた。
マラソンの新たな可能性
とはいえ、数ある観光地からあえて徳島を選ぶかというと、転勤族として各地に住んだ身として、なかなか厳しい面があるのも否めない。 民間調査会社が毎年発表している都道府県魅力度ランキングでは、徳島は42位(2023年)。上位には北海道、京都、沖縄……と強豪がひしめく。 そんな時、マラソンの存在は、県外の人に徳島に来てもらうきっかけとして魅力的だ。マラソンというくくりになった途端、観光とは別のフィールドで戦える。 なぜなら、ランナーの第一目的はマラソンだから、いい意味で観光地としての徳島にはこだわりがない。フラット、無色透明。 これを徳島色に染められたら、こっちの勝ちだ。沿道の特産品をはじめ、大会後にどこか一つでもおすすめスポットに足を伸ばしてくれたら、そこから徳島ファンが生まれる可能性がある。いや、そうしなければならない。 周りの人たちの会話を聞くと、四国はもちろん関西圏から来てる方も多いようだ。 徳島県のマスコットキャラクター・すだちくんのかぶり物をしている方は各地のマラソン大会に出場しているようで、「その地域のご当地キャラのコスプレをして走る」と話していた。マラソンの地域活性あなどれない! 観光や移住の施策と組み合わせることで、リピーターを増やす施策にもなるのではないだろうか。 観光という軸だけで勝負しようとすると、どうしても〝定番〟と言われる観光地にはかなわない。でも、実際、足を運んでみることでわかる魅力は確実にある。何の縁もなかったのに、なぜか徳島に移住している私が言うのだから間違いない。 そんなマラソンというイベントの新たな可能性に気づいた42.195キロだった。 次こそは「完食完走」を目指して、もう少しタイムを縮めたい。8月の北海道マラソンへのエントリーを心に決めた。 ◆伊藤あかりさんのXアカウント @korapea(https://twitter.com/korapea) ◆伊藤あかりさんが編集長を務めるメディア「かがみよかがみ」https://mirror.asahi.com/