初の42.195キロ 魅力度ランキング42位の徳島で気づいた、マラソンの〝新たな可能性〟
練習かねて出場したハーフマラソン
体力もついてきて、土日に息子と遊んでも前ほどへばらなくなってきた。 これは一石二鳥どころの話ではない! 全ての問題の解決策は「ラン」に通ずる? これはすごい発見では!!! と思ったのだけど、あまたの自己啓発本で、「ラン」の有効性は言われている。 “『スマホ脳』(新潮新書)で知られるスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンには数多くの著書があります。それらは一貫して「心と体を健康に保つには走るのが最もよい」と説いています。” ーー『あやうく、未来に不幸にされるとこだった』(堀内進之介、吉岡直樹著、東洋経済新報社、2024) 大会の練習も兼ねて、フルマラソンの本番の1カ月前にハーフマラソンに出場してみた。 「半分の距離を走ったことがあれば、本番もいける」と、ラン友達の声に背中を押された。10キロは走れるので、いけるのかなと思った。 しかし、ペース配分はめちゃくちゃ。なんとか歩かずに走りきれたけど、ハーフを走ったことでフルへの不安が増した。
とくしまマラソン当日、「エイド」を支えに
今回の私のフルマラソンの目標は「完食! 完走!」である。 とくしまマラソンは、他県の大会に比べてもかなりエイド(補給食)が充実していることで有名らしい。事前に配布されたパンフレットを見ながら、作戦をたてた。 まずは、10キロ地点でイチゴをもらえるらしいので、それを目指して走る。 「10キロくらいまでは普段から走っているので余裕。むしろあまりスピードを出しすぎると初心者は後々しんどくなるので抑え気味に……」とのんびりしていると、私の目の前でイチゴが品切れになった。 このままだと完食どころか、完売ゆえに0食になってしまう。ちょっとだけスピードを上げる。すると、今度は甘酒ゲット。おにぎりもゲット。 まもなくハーフの時点で、今度はいなりずし、ウィンナー、フィッシュカツ、たけちくわをいただく。前回はボロボロのハーフだったけど、それに比べたらだいぶ余裕があるような。 さて、ここから先は未知の領域! 腹ごしらえをしていざ!!!!! 空はあいにくの雨模様。どんどん雨が強くなってくるし、川沿いなので遮るものもなく、風はふきっさらし。足も少しずつ痛くなってくる。 でも、私の頭には次のエイドがターゲットされている。そうさ、折り返した先には徳島の特産品「半田そうめん」があるのさ。 歩きそうになるのをぐっとこらえ、「とりあえず半田そうめんまで!」を合言葉に頑張る。 その次は30キロ地点にある徳島の郷土料理「そば米雑炊」……と思ったのだが、私が着く頃にはまたしても「完売」だった。 友達から「35キロ時点に、あかりの好きな『阿波ういろう』あるぽい!」とのLINEが届く。よし、阿波ういろうだ!!! が、30キロを過ぎると、足が痛くて走れない。阿波ういろうもなくなっていた……。 いよいよ、両足が石のようになってきた。走りながら聞いていたオーディオブックの音も途中から耳に入らなくなる。気づけばイヤホンの電池も切れていた。 頭の中は「痛いな~ゴールまだかな~」が占拠する。 そんな弱気になった時に、聞こえてきたのが二拍子のカネの音と「ヤットサー」のかけ声。テントの下で踊り子さんたちが阿波踊りを披露してくれている。 沿道からは「あと何キロだよ! 頑張れ頑張れ!」「もう完走できるよ~!」の声援も。まさに「リアルご当地音声ガイド」である。私の好きなやつ。